基礎理論をしっかり学んで、ものづくりを理論と実践の両面から学ぶ機械工学科。3年次に工作機械メーカーでのインターンシップを経験した高橋航平さんは、製品開発を通して現場の厳しさを体験し、自分なりに考え、理論を立てることの大切さを学んだという。「真剣に指導してもらい、励まして頂いたことは、本当にありがたい体験でした」と振り返る。

父と同じ大学で学びたい

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高校時代から数学は得意だったのですが、理科がどうしても苦手で、文系を志望していました。しかし、高校3年生の秋に父と進路について話し合いをし、父が学生時代に書いた卒業論文を見せてもらいました。父は東洋大学の、理工学部の前身である工学部応用化学科出身でした。卒業論文は、当時の自分には専門的すぎて全然理解できず、自分も大学を卒業するまでの4年間で、これくらいの論文を書けるようになりたいと強くあこがれを抱いたことで、「やはり理系に進もう。父と同じ大学で学びたい」と思い、東洋大学理工学部を志望しました。

現在はとても充実した毎日です。特に3年生の後期から、藤松信義先生の航空宇宙研究室に所属していますが、先生は気さくに研究の相談に乗ってくださるし、研究室の仲間もとても雰囲気がよく、お互いに刺激し合っています。

僕は1年生のとき、外部講師として来校し、流体力学などについてのオムニバス形式の講義をした藤松先生の講義を受講しました。そのときの内容が興味深く、流体力学について学びたいという気持ちが高まったのです。その後、藤松先生が東洋大学に着任すると聞き、ぜひ先生のもとで学びたいと、研究室に入室を申し込みました。

空気の流れを解析する

研究室では、数学を使って空気の流れを説明する研究をしています。これはマッハ数が5以上の時の空気の流れを可視化するための数値シミュレーションのことで、数値流体力学(CFD)といいます。飛行機が飛んでいる時の周りの空気の流れを見えるようにしようとする研究です。

研究方法は、文献を調べて空気の流れの方程式を探し、それに当てはめて数値をシミュレーションしていきます。飛行機など、空気の流れが速すぎるものは、機体の周りで化学反応が起こり、熱が発生してしまうので、方程式も変わっていきます。それを数字で検証し、データ化して可視化します。数学が好きなので、コンピュータで計算していくことには面白みを感じています。

数値シミュレーションで空気の流れを可視化することは、空気の流れが強く影響する、自動車や飛行機などの輸送機器のデザインや設計の改良に役立ちます。こうした研究を深めていけば、いつか東北新幹線はやぶさのような、高速の乗り物のデザインに繋がっていくだろうと信じて研究に励んでいます。

いつか三菱重工で働きたい

3年生の時に、自分と社会との距離を見極めたくて、工作機械メーカーの牧野フライス製作所でインターンシップを体験しました。工作機械の金型作りのための実験などをし、「間違いでもいいから自分の考えを伝えるように」としごかれました。わずか2週間の体験でしたが、社員でもない自分と真剣に向き合い、励ましてくれたのです。貴重な経験でした。その様子を事後報告会でプレゼンテーションする機会がありましたが、こちらでも思いがけず高い評価をいただき、理論の立て方や研究への取り組み方が身についていると、大きな自信になりました。

卒業後の進路は、大学院への進学を希望しています。今取り組んでいる研究は、4年間では足りません。大学院へ進み、流体力学や数値流体力学の研究をさらに深めていきたいのです。そして、いつかは航空機開発の最高峰である三菱重工業に就職したいという目標をもっています。業界最先端の現場で、安全で速い航空機の開発に携われる日を夢見て、これからもがんばります。

高橋航平さん理工学部 機械工学科 4年

  • 所属研究室:航空宇宙研究室(藤松信義研究室)
  • 千葉県・私立木更津総合高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです