高校時代の恩師との出会いが、この学科に進むきっかけになったという、教育学科の清水まみはさんは中学教師志望。イブニングコースの学生として、昼間は3つのアルバイトを掛け持ちしてがんばっている。ニコニコと絶やさない笑顔からは想像できない意外な過去。そして大学での学びを通して理想の教育を見出した彼女は今、臨時職員として中学の教壇に立っている。

「やればできる」を教えたい

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中学の社会科の教師をめざしています。社会は暗記科目だとよく言われますが、私はちょっと違うと思います。歴史も確かに年号や人名を覚えれば点数は取れますが、詰め込むだけでは「テスト、大変だったなあ」という記憶しか残りません。でも、歴史の背景にあるもの、時代や事柄、人のつながりが流れになっていることを知れば、社会科の勉強がもっと面白くできると思うんですよ。

そのことに気づいたのは、大学での「外国史」の授業でした。教授の教え方が本当に素晴らしくて、講義に夢中になってしまったんです。実は私も、そんなに歴史が好きだったわけではないんですが、テストの記述ではお褒めの言葉をいただきました。

興味が持てばやる気も出るし、やればやっただけはね返ってくるものがある。それが社会という教科だと思います。そして生徒に興味を持たせるのは教師の役割。「やればできるんだよ」ということを、社会科の授業を通して生徒たちに伝えられる教師になりたいと思っています。

大学で養った教師としての軸

実は私、高校2年生のときに高校を辞めています。そのときにお世話になったのが、当時の部活の先生。高校を辞めて、生徒と先生の関係でなくなってからも、いろいろと相談に乗ってくれました。教師になりたいと思ったきっかけも、その恩師の存在が大きいですね。

教職課程は他の学科でも取れますが、教師になりたいだけでなく、教育そのものを学びたいと思ってこの学科を選びました。

教育の現場に出たら、さまざまな問題に直面することになると思います。そのときにブレないためにも、「何を目的に教育に携わるのか」という教師としての軸の部分を大学時代にしっかり養いたい。教師がグラグラしていたら、生徒までグラついてしまいますから。

イブニングコースは1部と同じ学びを得られますから、私のように学費を自分でまかなっている学生にはとてもありがたいですね。現在3つのアルバイトをしていますが、その1つが中学の臨時職員なんです。生徒たちに「清水先生」と呼ばれると、こそばゆくもうれしくなります。

生徒が勉強をあきらめないために

私は社会教育のゼミナールに入っていて、学校、家庭、地域の連携をテーマに研究をしています。私が特に取り組みたいのは「教育の不平等」です。家庭の事情など、さまざまな理由で進学や勉強をあきらめてしまう生徒はたくさんいます。でも、そこで「もういいや」と思ってしまったら、その子の可能性は閉じてしまう。それって悲しいですよね。

公立中学には勉強ができる子や苦手な子、スポーツが得意な子といろいろいますが、高校はある程度、同じような学力の子が集まります。つまり中学の終わりに、生徒たちは最初の分岐点に立たされるんですよね。

そんな大事な選択の時期だからこそ「あきらめるのは早い!」ということを伝え、やる気を引き出してあげられる存在になりたいんです。

教室ではなるべくニコニコしていたいですね。教師はビシッとしてないといけませんが、軸さえしっかりとしていれば、笑顔でいてもグラつくことはないと思いますから。

清水まみはさんイブニングコース 文学部 教育学科 3年

  • 所属ゼミナール:関直規ゼミナール

  • 掲載内容は、取材当時のものです