国際地域学部(2017年4月より国際学部・国際観光学部)では毎年春季休業中に、ホスピタリティ・マネジメントコースでは全米トップ3の米国カリフォルニア州立工科大学ポモナ校(California State Polytechnic University, Pomona:通称 Cal Poly Pomona)にて、約3週間のホスピタリティ・マネジメント研修を実施しています。2015年度は、国際地域学科2名、国際観光学科8名の計10名が参加しました。キャンパス内で大学が経営するホテルやレストランでの実務経験などを通じて、学生たちは専門知識を深め、英語力を向上させています。学生たちは異国の地で何を見て、感じたのでしょうか。研修の最終週に密着しました。

専門講義と英語クラスの2つの柱

米国西海岸のカリフォルニア州。ロサンゼルスから車でおよそ1時間の地に、広大なキャンパスを構えるカリフォルニア州立工科大学ポモナ校(Cal Poly Pomona)。東洋大学国際地域学部では、Cal Poly Pomonaとの提携のもと、毎年春季休業中に3週間の「ホスピタリティ・マネジメント研修」を実施しています。2015年度の研修は、2016年2月21日から3月12日までの約3週間にわたり実施されました。
この研修の柱は2つあり、1つはホスピタリティ・マネジメントの専門講義であり、もう1つは英語クラスです。いずれも単に机上で知識を得るだけでなく、机上で学んだことを実践しながら体得していくことを特徴としています。Cal Poly Pomonaにはホスピタリティ・マネジメントコースが設置されており、キャンパス内には、本格的なホテルやレストラン、カフェテリアが併設され、同大の学生たちはこれらの場で学びながら、実践力を養っています。国際地域学部の研修においても同様で、参加した学生たちは、実際にキャンパス内で実務経験を積むことができるプログラムが組まれています。

日米のホスピタリティのあり方について比較し学ぶ

3週間の研修期間中、学生たちはキャンパス内のホテルに宿泊しながら、月曜から金曜の午前中はホスピタリティ・マネジメントコースの講師陣による専門講義を3時間、午後には英語クラスで授業を3時間受けます。

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専門講義の授業では、冒頭には講師からの専門知識の講義を受けながらも、大半がディスカッション中心です。初めは講義内容を理解して、授業についていくだけでも大変だった学生たちも、いつしかこれまで日本で学んできた専門知識も活用しながら、自らの考えを自らの言葉で伝え、次第に発言力を高めていきました。

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午後の英語クラスは実践的に英語を使ってコミュニケーションを深める授業で、「英語を学ぶ」のではなく、「英語を使って表現をすることの楽しさを学ぶ」姿勢が身に付いているようでした。

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また、毎週木曜には、大学が経営するレストランやカフェテリア、ホテルにおいて、現場で働くスタッフや学生とともに実務体験する「シャドーイング」の機会も用意されました。さらに、週末にはキャンパス外での活動の場もあり、レストランやアミューズメントパーク、リゾートホテルなどを訪れ、日本とアメリカにおける経営方針やサービスのあり方の違いなどについて理解を深めます。

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また、このような全体での学びのほかに、2人1組での課題解決型のグループ学習もあり、学生たちは自ら設定したテーマに関連するアンケートを作成し、同大の学生20人以上に調査してきました。そして、授業の合間などに時間を見つけては、積極的に学生に英語で話しかけてコミュニケーションを深め、英語力も実践的に高めていったようです。そうして回収した結果をもとに分析し、グループとしての結論を導き出し、最終日には英語でプレゼンテーションを行う機会が設けられました。プレゼンテーションの当日には、各グループがまとめたスライドを使って「休暇の過ごし方」「アメリカの車社会事情」「アメリカ人はポジティブか?」「デートの仕方」など、グループの個性が光る発表が次々と行われました。

主体的に学ぶ姿勢が身に付いた3週間

3週間の滞在中、初めは言葉の壁にぶつかったり、文化の違いに戸惑いを感じたりした学生たちでしたが、いつしか「もっと主体的に学ぼう」「英語力をさらに高めたい」などと学習意欲を向上させていきました。そして、「できる限り英語で会話をしよう」と日本語を使わずに学習や生活をすることを、誰に言われるでもなく、自ら決めて行動するようになっていったそうです。
さらに帰国日が近づくにつれて、キャンパス内で知り合った友人や講師との別れを惜しみ、「日本に帰りたくない」という気持ちがわき上がる一方で、「ここにもう一度戻ってくるために、日本であらためてしっかりと学び直したい」という強い意志を持つ学生も現れたほど、大きな成長が見られました。

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帰国前日に開かれたフェアウェルパーティーでは、Cal Poly Pomonaの関係者から、「この3週間本当によくがんばりました。これからみなさんは、ポモナの学生の一員です」との温かい言葉が投げ掛けられ、学生たちも達成感と充実感にあふれた笑顔とうれし涙で、帰国の途に着きました。
異国の地で過ごし、異文化に触れ、数多くのことを学んだ3週間の研修期間。学生たちが学んだのは単なる専門知識や技術、英語力だけではありませんでした。多くの人との絆を深め、コミュニケーション能力を高め、自ら考え行動する力を身につけていったのです。この研修を通じて世界へ一歩を踏み出すきっかけをつかんだ学生たち。これからの学生生活においても、さらなる高みを目指して、自分の夢に向かって邁進していくに違いありません。

撮影協力: カリフォルニア州立工科大学ポモナ校
California State Polytechnic University, Pomona

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