2016年度から3コース制が導入される総合情報学部。スポーツフィールドでICT(情報通信技術)を生かせる人材の育成を目指すのが、「スポーツ情報コース」です。このコースでは、文系出身でも理系の知識を身に付けることができるという、文系・理系の枠を超えた学科の特色が色濃く反映されています。文系からのアプローチでどのような学びを深めていけるのか、臨床心理士やヨガセラピスト、芸術療法士などの顔も持つ加藤千恵子先生にお話を伺いました。

スポーツから得られるデータを分析

スポーツにはさまざまな可能性があります。身体機能を高め健康を促進するだけでなく、国境や言葉を超えた交流ができたり、閉ざされた心を開くことができたりします。競技を応援することで愛国心や愛校心を育む、一体感を得るといった側面もあります。心も身体も支える、それがスポーツです。

日本は世界有数の長寿国ですが、健康でいられる時間が長いとは限りません。これからの時代は、スポーツを通して健康寿命を延ばすことがますます求められていくでしょう。また、障害者スポーツを通して障害者への理解をより深め、積極的にボランティアを行うことも非常に重要です。

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このように、スポーツは人の心身と深く関わっています。「スポーツ情報コース」では、スポーツをデータとして捉え、分析します。スポーツが好き、スポーツ選手、スポーツを学びたいといった学生のためのコースであると同時に、スポーツ選手の心理を学び、心理的なデザインをするなどの授業もあるため、心理学に興味がある人にも学びがいがあります。さらに英語教育にも力を入れていくので、日本から世界へ発信するような仕事を目指す人にも適していると言えるでしょう。

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データをフィードバックすることでスポーツに貢献

「スポーツ情報コース」では、心理や生体の情報を取って分析し、統計学など理系の要素も取り入れて検証し、それをスポーツのデータとして生かす学びを取り入れます。そのため、授業ではスポーツ選手の性格検査を行い、競技、ポジションごとにどのような特徴があるかを分析します。また、スポーツ選手全員に合うメンタルトレーニングは存在しないので、「これをやれば絶対に成功する」などというものは当てになりません。そこで、個人差を考慮したメンタルトレーニングを考える必要があります。そのためには、どのメンタルトレーニングが実際に効果があったのか、バイオフィードバックや心理検査を使って測定します。さらに集中していた時の心拍数など、心理状態と動きとの関係や生体情報との関係をデータに取るといったことも行います。

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体育会で活動している選手には、自分自身のデータを取ってもらい、自らの成長を追ってもらうことを予定しています。選手自身がこのコースで学ぶことにより、これまで以上のパフォーマンスを上げるような結果につながれば理想的です。もちろん健康のため、あるいは趣味としてスポーツを続けたいという人に対する「健康スポーツ」についても、分析したデータをフィードバックすることで、社会に貢献できる側面が大きいとも言えるでしょう。

この「フィードバックする」ということが、「スポーツ情報コース」の大きな特色でもあります。スポーツから得られるデータを分析して検証するだけでなく、得られた結果を実際の競技にフィードバックすることで、チームや選手の実力向上に寄与できるのです。すでにラグビー部では実践していますが、私はヨガセラピストでもあるので、来年度からはヨガをしている際の心理生体データを取り、その結果をメンタルケアに反映させたいと考えています。

また、「スポーツ情報コース」では、学生たちに実際にスポーツを行ってもらいます。しかし、その種目で強くなることを目指しているわけではありません。目的はあくまでもデータの取得と経験です。障害者スポーツにも挑戦することは、データ分析能力のみならず、人間性を高め、意識改革につながるかもしれません。学生に、パラリンピックに関する意識調査を行ったこともありますが、障害者や障害者スポーツに対する理解はまだまだ不十分であるのが現実です。2020年のオリンピック開催国としても、この現状を改善するとともに、障害者スポーツの各種競技へもフィードバックしていきたいと思っています。

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卒業後に広がる多彩な職業

「スポーツ情報コース」の強みは、心理・生体・データ解析が一体化していること、そして文系として捉えつつ、理系の要素を取り入れているということです。文系の意識で学びながらも理系の知識を得られるので、高校では文系だったという人が総合情報学科に進み、2年次にこのコースを選んでも、違和感なく学べます。

スポーツ関連企業、フィットネスクラブ、スポーツイベント企画会社、市役所のスポーツ振興課などへの就職はもちろん、卒業後はスポーツ企業のみならず、医療、介護、保健、心理、情報、デザインなど、さまざまな分野の企業への可能性が広がります。

文系であるが、理系もできる。実際にスポーツも行い身体を使いながら、そのデータ分析のために頭も使う。この柔軟性やバランスが、将来の選択肢をより豊かにしているのです。

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加藤 千恵子教授総合情報学部 総合情報学科

  • 専門:メンタルヘルス、スポーツ心理学、ヨーガセラピー、心理統計、アートセラピー

  • 掲載内容は、取材当時のものです