法学部企業法学科に2016年4月、「ビジネスキャリア法コース」「グローバルビジネス法コース」「スポーツビジネス法コース」の3つの履修モデルコースが開設されます。「スポーツビジネス法コース」は、日本のスポーツの発展に「法」の側面から貢献することのできる人を育成することを目指すコースです。スポーツは法とどのような関わりを持つのか。コースでは何を学び、将来はどんな道が拓けるのか。清水宏教授にお話を伺いました。

社会の変化に対応した新しい領域

これまで多くのスポーツはアマチュアを中心に、運動能力の高い人たちのものとして発展してきました。また、一般市民にとってのスポーツとは、個人の趣味やレクリエーションの延長線上にあるものでした。

オリンピックの商業主義に見られるように、最近ではスポーツのビジネス化が進んでいます。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツビジネス市場は13兆円にも達することが見込まれます。そうしたなかで、スポーツを取り巻く環境にも変化が起きており、スポーツ選手の守られるべき権利を法のもとで保護する必要性が高まり、スポーツ組織の運営には公正性や透明性が求められるなど、一見かけ離れたところにあると思われていたスポーツが、社会と近づいてきました。このような変化によって生まれた新しいニーズに応えるべく、企業法学科にスポーツビジネス法コースをつくることになりました。

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スポーツの世界における法の関わりとは?

たとえば、プロ野球選手がメジャーリーグに移籍する場合、代理人が契約を結ぶなどの法的な手続きを行います。スポンサーとの契約を結ぶ場合にも、法の知識が求められます。法的な視点を持ち、契約に関する知識を持ち合わせた人がいなければ、選手は自分にとって不利な契約を結ばされてしまう危険性もはらむでしょう。また、どのようにして知的財産を管理したらよいのか、どうしたら不利益にならずに済むのかといったことを理解するための法的な知識が必要です。さらに、メディアとの対応においても、メディアから不当な契約を求められないようにしなければなりません。選手が競技以外のことに煩わされず、競技に専念するためには、契約や管理、組織といった社会との接点を選手が持つのではなく、法的な知識を併せ持ち、選手に代わって手続きを行い、選手を支える人材が今、求められているのが現状なのです。

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法の知識を生かして日本のスポーツの発展に貢献

スポーツビジネス法コースは、ビジネスの現場で用いられる法について学び、スポーツの特性に応じて法律を使うことのできる力を養います。つまり、法的な視点でスポーツビジネスに関わることのできる法のスペシャリストを育てることを目指すコースです。

このコースがスタートするのは2016年度から。企業法学科に入学すると、自分の興味関心や目的意識に応じて、「ビジネスキャリア法コース」「グローバルビジネス法コース」「スポーツビジネス法コース」の3つのコースから1つのコースを履修します。コースを超えた科目の履修もできる柔軟性の高いコースです。

「スポーツビジネス法コース」の主な科目としては、「スポーツビジネス論」や「トップアスリート論」「スポーツ観戦実習」といったものがあります。スポーツビジネス論は、スポーツを“ビジネス”としていかに考えるかということを扱うマネジメントについて学ぶ科目です。トップアスリート論は、現役トップアスリートを講師に招き、どのような考えのもとでスポーツをとらえているのかをじかに聞くことができる科目です。さらに、スポーツ観戦実習は、単にスポーツの試合を観て応援するだけではなく、大会がどのような組織のもとで運営されているのか、スポンサーはどのように関わるのか、そのなかで選手はどのように試合に臨むのかといったことを現場で実践的に学ぶものです。スポーツを切り口として、法を身近に感じられる専門科目を数多く用意しています。

スポーツビジネス法コースでは、アスリートやスポーツに関わる組織の法的なニーズを把握し、日本のスポーツの発展に「法」の側面から貢献したいと考える人を求めています。卒業後の進路としては、スポーツと関わる民間企業において、アスリートのサポートや知的財産の保護といった仕事をはじめ、スポーツビジネスにおける法的な規制への対応などの仕事、スポーツの組織や団体での法令遵守(コンプライアンス)に関わる仕事などが考えられます。また、高齢化の進む社会において、過疎化した地域の活性化や高齢者の健康促進のために貢献できる人材も求められるでしょう。「法学部=公務員」という限られた道ではなく、スポーツを切り口とした、幅広い現場で法の知識を生かして活躍できるものと思います。

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清水 宏教授法学部 法律学科

  • 専門:民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、民事紛争処理法

  • 掲載内容は、取材当時のものです