第18回BELCA賞ベストリフォーム部門で表彰された「東洋大学 朝霞校舎 実験工房棟」は、人間環境デザイン学科の内田祥士教授が改修に携わった建築だ。旧校舎を解体せず、外側はそのままに、内側のみリフォームを行い生み出された実験工房棟。内田教授はどんな思いを込めてそのデザインを描いたのだろうか。

朝霞キャンパスを見て学ぼう

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みなさんが人間環境デザイン学科に興味を持って、東洋大学の入試情報サイトにアクセスし、このコラムを読み始めたのなら、先へと読み進めるよりもむしろ、ここ、朝霞キャンパスに実際に足を運んでみることをオススメします。

人間環境デザイン学科実験工房棟は、ライフデザイン学部の新設にあたって改修したものです。この校舎は、1979年に研究室棟として建てられ、改修前には倉庫として使われていました。少しくたびれて見えるものの、構造的には何ら問題ない状態でしたので、その外側は活かして、中身をリフォームすることで再利用できないかと考えていました。幸い、やってみようということになり、このようなかたちになりました。

以前は中庭だった中央部分に、屋根を設けることによって生み出された吹き抜けのアトリウム。その自由な空間を、工房やスタジオなどの小部屋が取り巻く、スタジオに設置されている作業机は、ロッカーと共に、学生がそれぞれに「自分のもの」として使える、そんなイメージで進めました。外観は古いままですが、一歩中に入ればその印象は覆されるはずです。

人の暮らしをデザインする

人間環境デザイン学科は、製品デザインから建築設計、都市計画や地域づくりに至るまで、人の暮らしにかかわるさまざまなデザインを総合的にかつ、深く学べる学科です。「快適で質の高い生活空間を創り出す人材の育成」を目標としています。

3年次からは3つのコースに分かれ、より専門性を高めて学んでいきます。建築やまちづくりについて学ぶ「空間デザインコース」、バリアフリーや、よりユニバーサルなデザインをめざす「生活環境デザインコース」、家具や製品、さらにはよりインタラクティブなデザインを学ぶ「プロダクトデザインコース」が用意されています。

本学科の学生には、学生のうちにできるだけたくさんのものを見ておくよう伝えています。それは、みなさんについても同様です。社会に出れば、たとえばゆっくり建築を眺める時間などそうそう作れなくなります。時間に余裕があるうちに、国内外、有名無名を問わず、いろいろなデザインを見て、自分の中に蓄積していっていただきたい。そのストックが多ければ多いほど、のちのち、みなさんの思考を助ける強力なアシスタントになってくれるはずです。

競い合い、高め合う学びの場

演習の授業では、特に私は、学生に競うことを恐れないでほしいと言っています。少子化の進む、競争の少ない現代に生まれた世代は、社会に出ていきなり競争の渦に巻き込まれると、心が折れてしまったり、実力を発揮しきれなかったりするのではないかと考えるからです。

デザインの現場は競争の場でもあります。最低限「好き」でなければやっていけません。同時に、一人きりでは、打ち勝っていくことは難しいでしょう。自分のデザインを客観視し、そのデザインを使う側はどう思うか、デザインを選ぶ側はどう考えるのか、多面的にモノを見る力を仲間と競ったり協力したりしながら養っていただきたいものです。

自分がデザインに参加した場所で、学生と共に制作に没頭できるのは、大変幸せなことですが、学生諸君にとっても記憶に残る場所になってくれればと思っています。

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内田祥士教授ライフデザイン学部 人間環境デザイン学科

  • 専門:建築学

  • 掲載内容は、取材当時のものです