世界各国のさまざまな問題を研究対象とするのが、国際地域学科だ。各国に足を運んで現地の人とコミュニケーションを取ることで研究を深めていくのだが、それゆえに、英語を道具として使いこなす力が求められる。ロバート・ヒューズ准教授はこの道具を使いこなす術を教え、学生たちの後ろでその研究をいつも力強く見守っている。

あらゆる国の問題が研究対象に

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国際地域学科では、実に幅広い学問が研究対象になります。30人学生がいれば、30種類の研究分野があるのです。世界各国におけるあらゆる問題をテーマに研究する学問なのですから、それも当然の話でしょう。アフリカでのボランティア活動に力を注ぐ学生もいれば、東南アジアの教育問題に興味を持ったり、バングラデシュのインフラを研究したりする学生もいます。学生一人ひとりが関心を持つテーマを見つけ、そこから学問を広げていくのです。

たとえば、バングラデシュでは、井戸水の汚染が社会問題になっています。20~30年間飲み続けると病気になる、とも言われているのです。この問題を憂慮した特別なフィルターを開発し、そのシステムが、現在バングラデシュのさまざまな場所で使われています。

このような問題の研究から解決までのプロセスもすべて、実は国際地域学科の守備範囲になるのです。

現地で芽生える疑問から学問が始まる

国際地域学科で研究する際に何より大事なのは、国際言語である英語をしっかり習得すること。世界各国の問題をテーマに研究しようというのなら、実際にその国に行って実態を自分の目で見て、現地の人と話をする必要があるからです。

たとえば、国際地域学科ではフィリピンに留学するプログラムを組んでいますが、多くの学生たちがフィリピンに行った初日にまず驚くのが、ストリートチルドレンです。家のない子どもたちが道で寝ているのを目の当たりにし、「なぜこんな問題が起きるのか?」との疑問を抱くのです。リアルな疑問や問題意識が、本当の意味での学問につながるというわけです。

また、人間というのは初対面同士では、なかなか実のある話をすることはできません。特に相手が国も文化も違う現地の人の場合、会話を重ね、心が通じ合って初めて、ほかでは知り得ない興味深いネタやその国の実情を語ってくれるのです。

そうした話を引き出すのには、英語でのコミュニケーションが必須です。現地の人と上手に会話することで、自分の研究テーマに有益な面白い話を聞くことができ、研究も深まるのです。

英語を使いこなすことが研究の第一歩

私が現在、特に意欲的に取り組んでいるのが「日本人は、なぜ英語が話せないのか」という問題です。日本では中学から高校まで計6年間、みっちりと英語の勉強をしますが、卒業しても英会話ができる人はごくわずかです。これは、なぜなのでしょう。その答えは「カルチャー(文化)」「エデュケーション(教育)」「サイコロジー(心理学)」にあります。

日本での英語教育はほとんどの場合、先生が質問をして生徒が答えるという形式ですが、ここに間違いがある、と私は考えています。会話というのはそもそも、質問をすることから始まる。質問に対する回答ではなく、質問文をつくってそれをしゃべることができなくては、会話は成り立ちません。

私は現在、国際地域学科の学生に英語を教えていますが、こうした点を踏まえて、学生には英語で質問文を作らせるようにしています。その上で、試験では学生自らが質問を重ねて会話を続けなければダメ、としています。これを1年も続ければ、これまで英語が苦手だった学生でも英語で会話ができるようになります。これが、国際地域学科における研究の第一歩となるわけです。

英語は、コミュニケーションを取る上での道具に過ぎません。この道具を自在に使いこなして研究を広げていくことこそが、国際地域学科の真髄なのです。

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ロバート・ヒューズ准教授国際学部 国際地域学科

  • 専門:EFL Education. Language Arts, Literature, and Composition. Psychology. Applied Linguistics. Intercultural Communication, International Relations.

  • 掲載内容は、取材当時のものです