「経済学は、自分の生活に結びつけて実感できるようになると面白い学問なんですよ」と目を輝かせて語るイブニングコースの経済学科長の竹澤康子教授。「物価が上がったり下がったりするのはなぜか」「円高と円安は生活にどのような影響があるのか」などの話題を投げかけ、学生自身に「考えさせる」ことを大切にしている。

お金の動きに興味を持てば実感できる

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大学を選ぶ際に、経済学部の学びは社会とのつながりも深く、就職にも結びつきやすそうだという理由で志望する人も多いかもしれません。「経済」という言葉から受ける漠然としたイメージはあっても、具体的に何を学ぶのかがつかめずに入学したという学生も少なくないのが実情です。しかし本当は、経済学とは興味を持って学べばとても面白い学問なのです。その面白さを伝えていきたいと私は思っています。

経済を考えるということは、自分たちの生活や幸福について考えることにつながります。私の担当する「金融論」はどのようなしくみで、どのぐらいの量のお金を流したら、暮らし向きは安定するのか。その全体像をとらえて、方策を考える研究分野です。

たとえば、国全体で物価が2%上昇したと仮定します。それは、みなさんが買いたいと思っている商品の価格が2%上がるということです。それに対して、みなさんのお小遣いは上がるのか、下がるのか。国と個人を結びつけて考えると、実感がわくでしょう。大学生になると、長期の休暇中に海外旅行や留学をすることもありますが、そのときが一番、「お金の動き」を身近に感じられる機会になります。換金するために為替レートを見て、日本円と外貨の関係を意識するようになるからです。日本の円が外貨に対して価値が高いのか低いのか。それから円安になると、自動車や電機など輸出産業は利益を得ますが、原油や小麦などの輸入価格が上がるという影響が出ます。このように、自分の暮らしと関連づけて考えることで、経済学は実感を持って学ぶことができるのです。

学び合い刺激し合い、熱意あふれる教室

私は「金融論」を専門とし、日本の金融産業と金融政策、家計や企業の金融行動について実証研究をしています。「金融」とは、個人の家計から企業活動、政府の財政などさまざまな経済主体が資金を調達し、使用することによって生じる“お金の流れ”全体を指します。私はずっと研究生活を送ってきたわけではなく、21年間の公務員生活を経て2000年に東洋大学の教員となった少し変わり種です。特にイブニングコースで教えるにあたって、実務経験は大いに役立っていると思います。

イブニングコースには、高校を卒業したての10代から、社会人、定年退職後の方まで、幅広い年代層が集まります。昼間は働き、学費を自分で工面している学生も多くいます。卒業単位は第1部と同じ124単位で、1日の授業時数は2時限ずつ。3年生になると、いくつか昼間の講義も履修できる制度があるので4年間での卒業を目標に、昼も夜もがんばって単位を取る学生も増えます。それでも仕事の都合で、遅刻や欠席をせざるを得ない事情もあるでしょう。そんな学生たちが集まっていますから、限られた時間で学び取れるものは学び取りたいという熱意が教室にあふれています。社会で実務を経験している学生も多いだけに、質問内容も幅広く、専門的なことにまで及びます。一生懸命学ぼうとする仲間どうしで刺激し合い、高め合っていく雰囲気がイブニングコースにはあるのです。

“開かれた多様性”で視野も広がる

イブニングコースは必修科目が少なく、自分の関心や進路希望に応じて、イブニングコースの他学部の専門科目を選択することができます。経済学では、家計から企業活動、政府の財政まで市場を俯瞰して学びますが、経営学部の科目を履修して企業の視点を学び、国際地域学部の科目を履修して国際的な観点を身につけることもできます。多角的な視点を持って学ぶことで視野が広がり、学びへの興味も深まっていくはずです。この“開かれた多様性”は総合大学だからこそ実現でき、東洋大学のイブニングコースならではの特色です。

大学時代ほど、じっくりと腰を据えて学べるときはありません。私の授業では「真剣に考える」ことを大切に、体系的に物事をとらえる力を養います。こうした学びは、きっとみなさんが社会に出たときに大いに役立つはずです。大学生活を通じて、考える力を身につけ、人間力を磨き、ひと回りもふた回りも成長して社会へ巣立ってほしいと願っています。

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竹澤康子教授イブニングコース 経済学部 経済学科長

  • 専門:金融システム論、金融政策論

  • 掲載内容は、取材当時のものです