フランスのポルトガル系移民研究の第一人者である、イブニングコース社会学科の鈴木規子講師は、20代の半分をフランスで学んだ経歴の持ち主だ。「我が家はごく普通の日本家庭。娘を海外に出すのは大冒険でした」と振り返るが、今はそんな時代でもない。グローバル化社会の未来の同僚を知るためにも、「若いうちに海外に飛び出して」と学生たちの背中を押す。

移民と共生する社会をめざして

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高校時代に日本で知り合い、今も交流が続いているフランス人夫妻には2人の子どもがいます。夫妻は白人なのですが、子どもたちは黒人。聞けば、孤児院から養子として迎え入れたのだとか。肌の色の違う家族が仲良く連れ立って歩く光景は、私が「さまざまな背景を持った人々が共に暮らす社会」を意識するきっかけとなりました。

私の専攻は「政治社会学」と「国際関係論」ですが、なかでもEU、フランス、そしてフランスに暮らす外国人。この三者の関係を専門に研究しています。

あまり知られていないことですが、フランスには多くのポルトガル系移民が暮らしています。彼らはとてもマジメで働き者なので、フランス社会でとても信頼されているんですね。一方で先ほどの夫妻のように、フランス人も外国人の受け入れにとても寛容です。

移民というと何かとトラブルが取りざたされますが、彼らのようにうまく共生している例もあります。グローバル化の流れで、日本でも今後はますます外国人が増えていくでしょう。移民がいかにして現地で市民権を得ていくか、「フランスのポルトガル人」という存在の中にそのヒントがあるかもしれません。

映画で知るフランスの社会背景

イブニングコースでは授業のほかにも、国際問題を扱うゼミを受け持っています。私はフランスが専門ですが、アジアに関心のある学生も増えているので、そのときどきのトピックスを交えながら広く世界を見る視野を養ってもらいたいと考えています。

映画を撮っている学生が在籍していたときは、映画作品を通したディスカッションをしたこともありました。

昨年は、フランス人老紳士と移民青年のコミカルな友情を描いた「最強のふたり」という映画が日本でも大ヒットしましたね。また映画化もされた国民的絵本の「プチ・ニコラ」は、少し昔のお話ではありますが、フランスの初等教育がどんなものかがよくわかります。

学生たちにはなるべく新聞の国際面を読む習慣をつけるように指導していますが、映画や小説なども海外を知るいい入口になります。ストーリーを楽しむだけでなく、そこに描かれた社会背景や人々の営みにも注目して鑑賞すると、より世界が近く感じられるはずですよ。

よく遊び、よく学んで視野を広く

私が初めてフランスを訪れたのは大学時代、1年間の交換留学でした。現地の学生や留学生たちは本当によく勉強するんです。前日遅くまでパーティをしていても、翌朝はパッと切り替えて。課題も多いので授業の合間は図書館で勉強し、閉館時間まで多くの学生が残っていました。

また彼らは教授によく質問します。ビックリするくらい簡単なことも恥ずかしがらずに。でも考えてみれば、最も身近な専門家である教授に質問すれば、何冊本を読むよりずっと早く深く理解できますよね。

よく学び、よく遊ぶ。授業で積極的に発言する。シャイな日本の学生にもぜひ見習ってもらいたい姿です。そして感受性が豊かな若いうちに、旅行でもいいのでぜひ海外を訪れてほしいですね。できれば現地で友だちも作って。

もはや日本に住んでいるから、外国のことは関係ないという時代ではありません。日本企業もどんどん海外に進出していますし、日本でも外国人とともに働く職場はこれからさらに増えることでしょう。文化の違う相手を理解し、互いに尊重し合うこと。それがこれから社会に出るみなさんに養ってほしい意識なのです。

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鈴木規子講師イブニングコース 社会学部 社会学科

  • 専門:EU市民権、フランスとEUの政治・社会・教育、フランスの移民問題

  • 掲載内容は、取材当時のものです