法を学ぶ者は、論理的に考えて公平に判断する能力を身につけなければならない。この能力を「リーガルマインド」と呼ぶ。ある問題に対して法的に解決するならば、直感だけに頼るのではなく、公正な立場から問題を分析し、問題解決のためのルールを導く力が求められる。「1年生が全員受講する憲法や法学入門の授業で、その最初のステップを意識して伝えている」と語る武市周作准教授は、学生たちの社会に対する関心の高さに期待している。

憲法に始まり、憲法に終わる

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私が専門としている憲法は、とても奥が深い。学べば学ぶほど味わいが深くなります。憲法の授業では、国家のあり方・人権の保障について学びます。法学部の1年生が最初に触れる専門科目の一つですので、いかにわかりやすく伝えるかを重視しています。最新のニュースなどの多くの具体的な例を取り上げ、理解しやすくするためにPowerPointで図やグラフ、資料などを示して授業を進めています。

法秩序の根本に流れているのが憲法の原理・理念ですから、2年生以降、さまざまな法律科目を学んでいくなかでも、憲法は常に意識していなければなりません。他の法律を学んで改めて理解が深まることも多々あります。だからこそ、1年生という早いうちに憲法の理念や原理を身につけておかなければならず、それと同時に「法律の学びが進んだら、また憲法を振り返ってみなさい」とも伝えています。昨今、格差社会や教育問題、改正問題など、憲法に関わる話題があふれています。これらに対して、法的な思考に基づいて、緻密に論理を組み立てて、バランスを損なわずに考えていかなければなりません。

法学は大人の学問

本学の法学部は、公務員を志す学生が少なくありません。確かに公務員と法学部は結びつきやすいですが、しかし、法学で得られる知識は、どんな分野のどんな職業でも、活用できます。これまでに身内の相続など、法律の問題に少しでも触れた経験のある学生は、法律の知識の重要性を実感できるでしょうが、そういう例は決して多くはないでしょう。私自身も法学部に進学したときには、そういう経験はありませんでした。しかし、大学生活を送るうちに、あるいは、卒業して社会に出てから、経験を積み、さまざまな問題にぶつかるなかで、法律の知識は必要になってきます。また、法律の知識だけでなく、法的な考え方自体が大いに役立つと気づくはずです。そういう意味で「法学は大人の学問」なのです。

学ぶほどに社会への関心が高まる

実際に法律が使われているのを実感するために、裁判傍聴を勧めています。学生と共に裁判傍聴に行くこともあります。昨年度は夏休みに希望者を募って、知り合いの弁護士の協力も得て傍聴する機会を作りましたが、参加した学生はそれぞれ、さまざまな刺激を受けたであろうと思います。教室で学んでいることが、社会につながっていることを感じ、それを通じて社会に関心を持つことは、とても大切なことです。

ゼミでは、判例や現実の憲法問題を題材に、学生が自ら調べ、報告・議論をしています。議論が白熱すると、途中で私が口を出す隙もないほどです。みなさんはこれまでにも自分の意見を主張することは大事だと教えられてきたかもしれません。確かにその通りですが、法学部では法律学のフィルターを通して考え、議論することが求められます。法律の知識を用い、法的思考に基づいて、論理を組み立てていくことを「面白い」と実感するときが出てきます。問題を発見し、分析し、それをどう解決するか。そして、人を説得できる結論を導く知的な楽しさを味わうことが醍醐味です。

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武市周作准教授法学部 法律学科

  • 専門:憲法

  • 掲載内容は、取材当時のものです