一般教養の体育でバスケットボールの指導にも携わる高橋珠実准教授。「体を動かしていないと元気が出ないのですよ」と、授業の合間に広大なキャンパスをランニングすることもある。かつてアスリートだった経歴と、その後の研究生活で導き出した「心と体の健康」の秘訣とは、何事も楽しむ精神だ。笑顔を生み出すそのユニークな授業とは。

すべての人に「心と体の健康」を

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駅伝で有名な東洋大学ですが、この学科にも陸上やサッカーなどスポーツに打ち込んでいる学生がたくさんいます。また、スポーツが大好きで、将来はアスリートをサポートする仕事に就きたいという夢を持って、この学科に来る人も多いですね。

私も大学時代までは、テニスに夢中になっていた競技者の一人でした。当時の私は練習の虫で、とにかくテニスが上手になりたい一心で体に負担をかけてばかりでした。その結果、貧血症状でパフォーマンス低下を招いてしまった。そんな苦い経験をしているからこそ、現役でスポーツをしている学生たちには、栄養や人体の機能についての正しい知識を持ってもらいたいのです。

もっと言えば「心と体の健康」はアスリートに限らず、すべての人にとって大切なテーマですよね。子どもから高齢者まで、あらゆる年齢の人が人生を笑って過ごすためのお手伝いをしたい。それが、私が競技者生活を経て、健康・スポーツ科学、そして保健学の研究者になった動機でした。

紙飛行機は奥深いスポーツです

ところで、幼い頃に紙飛行機で遊んだ方も多いと思いますが、実は紙飛行機って世界大会も開かれているスポーツなのですよ。

私が手にしているのは「ホワイトウィングス」という競技用の紙飛行機で、条件が合えば1分以上も飛ばすことができます。でも、ちょっとでもバランスが悪かったらうまく飛ばないし、風が強すぎてもダメ。シンプルだけど、実はとても奥深い競技なのです。

年齢を選ばないのも、紙飛行機のいいところ。意外なことに、高齢の方が上昇気流をうまく読んで飛ばしたり、もちろん子どもでも幼児から参加したりすることができます。一般的なスポーツは苦手な人でも、飛んでいった紙飛行機を追いかけながら、知らず知らずのうちに運動ができているのもいいところです。健康のために運動をしましょう、と言ってもイヤイヤながらでは意味がないですからね。

そして何より、紙飛行機を通して、笑顔やコミュニケーションが生まれることで、「心の健康」にもつながると私は考えています。

板倉キャンパスはグラウンドも広々とした素晴らしい環境が整っています。だからこそ、授業でもこの紙飛行機を取り入れたら、楽しく健康について学べるのではないかなと考えているところです。

笑顔あふれるキャンパスをめざして

社会問題の一つである「メンタルヘルス」もこの学科で取り組むテーマですが、みなさんにも身近なところでは落ち込んだり、心が元気を失ったりした経験はあるでしょう。何かに挫折して、前が見えなくなったこともあるかもしれません。

でも、みなさんの前には、まだまだ広い世界があるということを知ってもらいたいのです。私も現役の選手だった頃は、指導する側に立つなんて考えたこともありませんでした。それが、引退後にアメリカに留学していた頃に、たまたまテニスを教える機会があって、それがとても楽しかったのですね。視点を変えると今まで見えなかった世界が広がる。そんな経験を大学時代にたくさんしてもらいたいし、私の方でもいろんな選択肢が見つかる場を作っていきたいと思っています。

何より学生のみなさんには、たくさん笑ってもらいたいですね。笑顔は周りの人も自分も元気にしますから。どんなことでも楽しめて笑顔で取り組める、そんな精神が社会に出たときには一番の底力になるはずですよ。

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高橋珠実准教授食環境科学部 食環境科学科

  • 専門:保健体育

  • 掲載内容は、取材当時のものです