「マーケティングは企業が活動する世界の永遠のテーマ」と語る李炅泰准教授。顧客との良い関係づくりを科学的に調査・分析し、戦略的に企画するマーケティングは、どの企業にも欠かせない活動だ。マーケティングの重要性を認識し、全組織で取り組む企業は成長し、怠れば淘汰される。企業経営に直結する実学なのだ。

企業が市場と良い関係を築く方法

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企業があり続けるためには、ある年だけヒット商品が出るのではなく、毎年確実に売れ続けることが大事で、そのためには長期的に顧客と「良い関係」を築くことが重要です。この関係づくりが「マーケティング」です。つまり、企業は自社のモノやサービスを買ってほしい、消費者はほしいモノやサービスを手に入れて満足したい。その両者の欲求が上手に重なる仕組みがあればいい。両者が満足する関係を、どう築くかを考えるのがマーケティングなのです。

継続的に売れることは、企業にとって成長の原動力で、より発展するための基盤となります。企業が発展すれば、より良い商品やサービスが手頃な値段になりますから、それは消費者にとっても喜ばしいことであり、逆に、売れ続けなければ倒産します。だからこそ、マーケティング戦略を練ることは、企業にとって最重要事項なのです。

実務的な価値のある学問

数年前の、ミネラルウォーターのボルヴィックの「1L for 10Lプログラム」を覚えていますか。ボルヴィック1Lを購入すると、アフリカに10Lの清潔な水が送られるプログラムです。売り上げの一部がユニセフに寄付され、井戸作りやメンテナンス費用に充てられる仕組みで、売り上げを大きく伸ばしました。これは社会貢献と販売を結びつけたキャンペーンで、「コーズ・リレーテッド・マーケティング(CRM)」と言います。募金と購買という値下げとは相反する内容でも、消費者が満足するならヒット商品になる。私のゼミではこのCRMを卒論テーマにした学生もいました。

マーケティング学とは、実際の企業経営に直結する、実務的な価値のある学問です。消費者は、年齢・性別などの個々人の事情や、流行・経済状況などの周囲からの影響によって、ほしいモノが次々と変化します。今は要らないと言っても、次の瞬間にはほしくなる。変化する消費者の深層心理を把握することは難しく、的確な分析力と新しい戦略を提案する力が求められます。戦略がはまれば、大ヒット商品も誕生するでしょう。意図せずに誕生したヒット商品もあります。何が起こるかわからないながらも、それを探っていくことがマーケティング学の面白さです。

論理的に自分の考えを説明する力

みなさんは今、主に消費者の立場にありますが、企業に就職したら、企業の目線で考えなくてはなりません。消費者のニーズを的確にとらえる方法と、その分析方法。企画、消費者との接し方。ゼミでは学生が自分でテーマを選び、研究発表します。説得力のあるプレゼンテーションのためには、問題意識をもって市場を観察し、科学的に分析し、改善策を練り、企画を組み立てなければなりません。お互いにプレゼンテーションを繰り返すことで思考力が高まり、自分の提案を論理的に相手に伝える能力が身につきます。

マーケティングは、トップや一部門だけの取り組みではうまくいきません。組織の諸部門で考えることが大切です。また、従業員が満足しなくては顧客を満足させることなど、到底できません。株主やマスメディアとよい関係を築くことも重要です。つながりのあるすべての人と一緒に成長する方法を探ること。マーケティングは、あらゆる組織に当てはまるのです。

マーケティングを極めた企業はどれだけ成長できるのか。関係を持つ両者が互いに得をしなくては意味がありません。マーケティングとは企業が活動する世界では永遠の課題であり、主要なトピックなのです。

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李炅泰(い・きょんて)准教授経営学部 マーケティング学科

  • 専門:国際マーケティング論

  • 掲載内容は、取材当時のものです