ポリグラフ検査とは、生理心理学(心電図、皮膚電気反応、脳波、呼吸運動など)を測定しながら犯人の記憶を測定する検査です。生理心理学と犯罪心理学が融合した、心理テストの中でも非常に珍しい検査で、日本の犯罪捜査の中で広く活用されています。
ポリグラフ検査というと「ウソ発見器」を思い浮かべがちですが、実際は、ポリグラフ(ポリ:多くの、グラフ:記録)という器械を用いて、「嘘」そのものを見抜くのではなく、「記憶」を検出する心理検査です。心拍・呼吸・汗を指標とした生理反応と、無実の人では絶対に反応が出ないような多角的な裁決質問で、犯人しか知り得ない記憶の検出が可能です。検出成績は極めて高く、ポリグラフ検査は実際の犯罪捜査場面で最重要視されている犯罪心理学の最先端ツールです。そして無実の人をえん罪から救うための検査でもあります。
心理学が持つ「言葉」と「態度・行動」と「生理反応」という3つの物差しの中でも馴染みの薄いこの「生理反応」ですが、社会心理学の中では非常に重要なツールなのです。

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桐生 正幸教授社会学部 社会心理学科

  • 専門:犯罪心理学(犯罪者プロファイリング、地域の防犯など)、精神生理学(ポリグラフ検査)、ストーカー犯罪の対策、性犯罪加害者の心理など

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