曖昧さの構造を厳密に捉えるにはどうしたら良いか、その方法を2つ紹介します。
1つは「砂山のパラドックス」です。砂山から砂を1粒取り除いても、それは砂山のままです。しかしそれを繰り返し、最終的に砂が1粒になったら、それはもう砂山ではありません。しかし、それがいつから砂山ではなくなったのかはわかりません。なぜなら「形が縦方向に長いのが砂山」とか「砂が○粒以上集まったら砂山」といった砂山についての概念が曖昧だからです。そこで、ある程度までの実数に、「たくさん」のような新たな数の概念を導入して表します。
もう1つは確率分布で表す方法です。確率分布で統計的に扱うことによって曖昧さを表すのですが、確率分布自体は量子論から来ています。量子論には量子意思決定論、量子ゲーム理論という分野があり、先生も経済学者としてそれらの理論を研究している数少ない一人です。
砂山のパラドックスと量子論、この2つの曖昧さの理論に共通しているのは、数の概念です。特にこの砂山の理論は、社会一般で普遍的に見られることでもあり、社会を考える上で非常に重要なキーコンセプトだといえるでしょう。

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佐藤 崇講師経済学部 経済学科

  • 専門:ミクロ経済学、意思決定理論

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