幼い頃から家族で旅行する機会が多かったという国際地域学部国際観光学科の本橋由爽(ゆいさ)さんは、空港で客室乗務員の方が優しく接してくれたことが、就職先を選ぶ際の原点となりました。厳しくも実りの多いゼミでの研究と経験を通して、航空会社で働くという目標を確立し、達成した本橋さん。ゼミ選びの大切さを後輩にも伝えたい、そんな思いも抱いています。

学生を叱った先生から学びたかった

昔、家族旅行で飛行機に乗る前、3つ下の弟がぐずって両親がかかりきりになり、ぼんやりしていた私に「どこに行くの?」「飛行機楽しみだね」と声をかけてくれたのが、客室乗務員でした。小さな女の子の置かれた状況を察知して話しかけ、キャラクターのシールを手に貼ってくれたことが、幼心に強烈に残りました。私自身も旅行が好きだったこともあり、将来は航空業界に進みたいという気持ちが自然に芽生えました。

大学に入ってもその思いは変わりませんでしたが、航空業界に就職するために何をすればいいのか、具体的なことがわかりません。ただ英語はきっと必要になるだろうと考え、1~2年では英語の勉強に力を注ぎました。短期留学をしたり、横田基地へ英会話を習いに行ったり、今できることは全力でやっておこうという思いでした。

私が将来を考えるうえで大きな影響力を持っていたのはゼミでした。島川先生のゼミは人気が高く、入るのが非常に難しいのですが、どうしても入りたい理由がありました。2年で島川先生の「欧州ツーリズム論」を受講した初日、遅刻してきた学生を先生が叱ったのです。大学入学してから学生を叱る先生を見たことがなかったのでびっくりしたのですが、「観光を学ぶ人間として、遅刻の理由が電車の遅延でも許されない」という先生の言葉を聞き、この先生のゼミに入りたいと強く思いました。私は中高6年間無遅刻無欠席で、大学でもその姿勢を大切にしていたのですが、周囲には要領よく単位を取る人もいて、私は損をしているのかなと思うことがあったのです。けれどその時の先生の言葉を聞いて、やはりこれまでの自分の姿勢を大切にしていいのだと思うことができました。

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就職活動で社会人になる準備もできた

島川ゼミにはゼミ長がいません。これはゼミ長がいるとその人に頼ってしまうため、全員がゼミ長というつもりで当事者意識を持って取り組みなさいという先生の指導方針でした。ゼミ長がいないということは仕切る人がいないということなので、何か1つ決めるのにも時間がかかり大変なこともありましたが、全員が当事者意識を持ってすべてのことに向き合った結果、自発力やチームワークが培われました。就職活動の面接では、ゼミ長を務めた経験を話している方もいましたが、ゼミ長を設けないゼミに所属をしていたという私の体験談にも、面接官の方々は関心を持って聞いてくださっていた気がします。

2年生まではただ漠然と航空会社に対して憧れを抱いていましたが、ボランティア活動やインターンシップを通して、航空会社が目標とする就職先となりました。就職活動というのは誰かに指示されて動くものではなく、活動のペースも自分次第です。私の場合、就職活動当初は10分前行動を心がけていたのですが、終盤には30分前行動が基本になっていました。1日のスケジュール管理もより正確に行うようになり、今振り返ると、就職活動を通じて社会人になるための準備をしていたのかなという気がします。

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やりたいことが見つけられるゼミへ

夢は向き合うのが怖い時期もあります。私も漠然とした航空会社への憧れが目標とする就職先になった時、自分が客室乗務員になれるわけがないと、挑戦する前から自分自身を否定していました。けれど、最初からできないと決めつけて何もしなければ可能性はゼロ、それはあまりにももったいないことです。たとえ選考の途中で不合格となってしまったとしても、そこから得られるものが必ずあり、自分の成長につなげることもできます。挑戦してみようという強い思いは人を動かす力があるので、皆さんにも勇気を出してまずはアクションを起こしてほしいです。

大学生活の中で、ゼミ選びはとても大事だと思います。ゼミによって就職に有利・不利はありませんが、ゼミで何を学ぶか、どれだけ吸収できるか、そしてどれだけ大学に通う機会を増やすかは、学生生活の中でとても重要なことです。もしもゼミを選ぶ時点でやりたいことが決まっていなくても、「やりたいことがないから楽そうなゼミに行こう」ではなく、「やりたいことを見つけられるゼミに行こう」という姿勢で探してみるといいと思います。

私自身は幼い頃に空港で話しかけてくれた客室乗務員の方と同じ航空会社へ進むこととなりました。就職することはゴールではなく、スタートです。研修期間を経て国内線、国際線の客室乗務員を経験し、いつか客室乗務員の教育に関わる仕事に就くことを目指し、これからがんばっていきたいです。

本橋 由爽さん国際地域学部 国際観光学科 4年

  • 内定先:日本航空株式会社
  • 所属ゼミナール:島川崇ゼミナール
  • 私立桐朋女子高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです