定められた内容に沿って勉強する高校と違って、自分の関心のある分野や、興味のある事柄について、深く掘り下げていくのが大学での学びです。だからこそ、大学では自分でアンテナを張り、積極的に行動することが大切だと言えます。大学4年間であらゆることに全力で取り組んだ、社会学部社会学科の佐藤佑亮さんの場合は、海外でのボランティア経験が自身の研究テーマとなりました。

価値観を変えたボランティア活動

興味を持ったことは、何でもしてみる。やりたいことに取り組めば、自分の将来像も見えてくる。あらためて大学生活を振り返ると、まさにその通りでした。

高校時代から海外に行きたい、留学をしたいと思っていました。交換留学の試験を受験したものの、結果は残念ながら不合格。そんな時、大学の友人に誘われたのが、海外でのボランティア活動でした。2 年生の春休みに参加した2 週間のマレーシアでのワークキャンプは、自分を成長させてくれる経験となりました。大学の授業でも、世界の子どもの貧困問題をテーマに学んできましたが、NPO 団体のCFF(Caring for the Future Foundation Japan)には、東洋大学だけでなく、さまざまな大学の学生が10人ほど集まっていました。ワークキャンプは、貧困地域を訪れて、親がいない子どもたちや教育を受けられない子どもたちのためにご飯を作り、勉強を教えるという活動です。

マレーシアでは、2週間の滞在期間中にいろいろな地域を訪れました。どこも、日本とは比べものにならないほど貧しい地域ばかりです。私たちは、行く先々で現地の人と一緒にご飯を作って食べて、子供に勉強を教えていきました。時には、辺りにいるニワトリを捕まえてさばいてご飯をつくる、なんてこともありました。マレーシアでの2週間はとにかく刺激的で、まさに「新しい世界を見た」経験でした。大学生活を振り返ってみても、それは、私の価値観を大きく変えてしまうほど、印象的な出来事でした。

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行動することで得られる情報がある

社会学部で学ぶ学生として、子供の貧困という問題は、講義などで知識としては知っていました。しかし、情報として耳から入ってくる内容と、実際に貧困地域に行き、その状況を自分の目で見て、肌で感じたことは、やはり大きく違いました。社会学では自分で考え、自分で調査することが重要とされていますが、この経験から、「自ら行動し、『生の情報』を取りに行くことの大切さ」を改めて強く実感しました。

ものの見方や価値観が大きく変わる中で、最も強く感じたのが、「世界にはいろいろな人がいる」ということ。私が訪れた地域は貧困地域でしたが、出会った人はみんな、温かい人たちばかり。そして、マレーシアは多宗教、多民族国家で、いろいろな価値観の人がいます。そんなマレーシアの人々の生活を実際に目にして、「日本しか知らずに生活していた自分の世界は、なんて狭かったのだろう」と思いました。

あの2週間で自分の生活が大きく変わったわけではありません。しかし、心の深いところでは、何かが変わったのです。マレーシアでの経験があまりにも大きすぎたからなのか、何がどう変化したのか、なかなか言葉にすることができませんでした。

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多様な価値観を持つ人々と共に

日本企業では今、「多様性」が求められています。しかし、現実の日本社会では多様性を受け入れる環境がまだ少ないようです。15歳の幸福度の調査では「孤独だと思う」と答えた人が最も多かったのが日本で、最も少なかったのがオランダです。卒業論文では、この調査結果を踏まえ、外国の教育政策と比較しながら、「どうすればもっと日本人や日本の社会が多様性を受け入れられるようになるのか」を探りました。

グローバル化が進むいま、世界はこれまで以上に身近な存在になるはずです。そして、私は世界中の多様な価値観を持つ人たちと共に働きたい。お互いの個性を尊重し、認め合いたい。そのためには、自分の人間力も高めなければなりません。私は仕事を通じて、自分自身をさらに成長させ、周りの人たちとより良い仕事を作っていきたいと考えています。どんな仕事をするにしても、それを生きがいとして、向上心を持ち続けていきたいです。

佐藤 佑亮さん国際地域学部 国際観光学科 4年

  • 内定先:SMBC日興證券株式会社
  • 所属ゼミナール:小澤浩明ゼミナール
  • 埼玉県立川口北高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです