高校生の頃は日本史が得意で、もっと歴史を深く学びたいと入学した文学部史学科日本史学専攻コースの今関直樹さん。就職するにあたってのキーワードは、“人を幸せな気持ちにさせる”ことができる仕事でした。就職先の職種と大学での学びは、直接的に結びつくことはなくても、大学の学びを通じて身に付いた多面的に物事を捉え、自分で答えを導き出す力が役に立っていると言います。その自信と誇りが就職活動においても発揮され、他人と比較することなく自分を貫くことで、志望の会社の内定を得ることができました。

自分で考えて選んだ企業へ

高校の時から得意だった日本の歴史をさらに深く学びたくて、史学科に入学しました。漢文や古文書の読み方に始まり、考古学の知識も得て、森公章ゼミナールでは古墳について研究。ひとつの史料をそのまま受け入れるのではなく、他の史料からも検証するという学び方を繰り返すうちに、物事をひとつの視点ではなく多面的にとらえ、自分で考えて答えを導き出す力が身につきました。就職活動で企業研究をする際にも、その力は大いに生かされたと思います。

日本史を学びたいと存分に追究してきた大学4年間。自分としては、満足がいくまで学ぶことができました。だからこそ就職を迎えるにあたり、自分が何をしたいのか、どんな仕事に就きたいのかと考えたとき、今度は違うことにチャレンジしようと思ったのです。

そこで、食べることが大好きだったことと、特に甘いものは“人を幸せな気持ちにする”と感じて、食品業界を志望しました。内定をいただいた山崎製パンは、2014年2月、関東甲信越地方の大雪で閉ざされた中央自動車道でドライバーたちに商品のパンを無料提供したことが話題になりました。人気の商品を数多く持つ製パン業者のなかでも、あんなに胸が熱くなるようなことを当たり前のこととしてできる企業で働けることが決まって、本当にうれしく思います。

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他人と比較しない強さを持つ

食品業界に就職しようと決めてからは、まずスーパーの食品売場に行き、どのような商品が、どのような会社で作られているのかを調べました。自分の足で情報を集めることで、世間のうわさやイメージに振り回されることなく、自分のものさしでそれぞれの企業をとらえることができたと思います。自分自身についても他人と比較することはありませんでした。就活中は、仲間はみんな真剣。それだけに、あまり他人と関わらなくなる人もいます。アルバイトも一切辞めてそれまでの生活とはまったく異なる就活モードになる学生が多いなか、私自身は3つも掛け持ちしていたアルバイトを、就活が始まってからも辞めることはしませんでした。なかでも大変だったのは、毎朝午前1時起きで営業所に行き、チラシの折り込み作業から関わった朝刊配達のアルバイト。大雪の日に大量の新聞を載せたバイクを押して歩き、14時間かけて配達したこともありました。他の仲間が就活でどういう動きをしているか、気にならなかったといえば嘘になりますが、肉体的な苦労を乗り越えたことで、「これだけは負けない」という自信が持てたのかもしれません。それまでの学生生活と就活との両立で身についた力を信じて、ありのままで勝負しようと面接に臨むことができました。

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自分らしく経験を積んでいく

自分のスタイルを崩さず、「絶対に負けない」という思いで臨んだ自分を認めてくれた会社には感謝と同時に、これから力いっぱい貢献していきたいと思っています。入社後は工場で製造工程を理解し、配送等の経験も積むことになるでしょう。ヒット商品を生み出すような商品開発の仕事にも興味がありますが、まずはいろんな業務を経験し、多くの人と関わりながら成長していきたい。企業は人で成り立つもの。人事がよければ会社は成長し続けるはずです。自分も経験を積みながら、人を見る目を肥やし、いずれは人事の仕事に携わりたいと考えています。

実は就活を終えてから足の靭帯を切ってしまい、内定式には松葉杖で出席しました。こんな大事な日に、と少し悔しい思いでしたが、同期入社となる人たちが大勢いるなかで「松葉杖の人」と、人事部の人にすぐに覚えてもらえました。これからもピンチをチャンスに変える強い気持ちで、自分らしくがんばっていきます。

今関 直樹さん文学部 史学科 日本史学専攻コース 4年

  • 内定先:山崎製パン株式会社
  • 所属ゼミナール:森 公章ゼミナール
  • 千葉県立柏南高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです