幼い頃から日本文化に慣れ親しんできたという経済学部国際経済学科 紀 筱舟さん。地元上海の大学で理工系を学んだ紀さんの夢は、父と同じ貿易の仕事に就くこと。夢の実現のために選んだのは、「日本の大学で経済を学ぶ」という道でした。日本での大学生活も4年目を迎えた今、学べば学ぶほど、さらに意欲が高まっています。

サポートの厚い大学で国際経済を学びたい

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中国の大学で理工系分野を学ぶうちに、将来は父と同じ貿易の仕事をしたいと考えるようになりました。今、日本経済は復活してきていますし、将来的に日中貿易はもっと盛んになるはず。だからこそ、日本の経済や国際的な経済、そして日本の文化も含めて、日本で学びたいと考えたのです。。

日本への留学を考えた時、私は22歳でした。そのため、「留学するには若くない」という理由で父から反対されました。けれど、「貿易の仕事をするという夢をかなえたいから」と何度も説得したところ、最終的には賛成してもらうことができました。

東洋大学と出会ったのは、23歳で来日し、1年間通った日本語学校での紹介がきっかけでした。その時の大学選びの基準は、国際的な仕事をするために必要な経済の知識を学べること。担任の先生から「通学も便利だし、国際交流が盛かん。教員と職員による留学生へのサポートが充実している」と東洋大学を勧められたのです。

英語プログラムと留学制度で語学力アップ

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国際経済学科では、日本人は第三外国語まで、留学生は第四外国語まで履修することができます。私の場合、第一外国語で日本語、第二外国語で英語、第三外国語でフランス語を選びましたが、今は日本語と英語に力を入れて学んでいます。

特に英語は、貿易の仕事をする上で欠かせません。そこで英語力を高めるため、全学部の学生が対象の英語特別教育科目「SCAT (Special Course in Advanced TOEFL)」を履修しています。SCAT(現LEAP)は英語圏の大学に留学した際に必要となる英語力を習得することが目的で開講されている特別プログラム。講義はすべて英語で行われます。講師は協定校の米国・モンタナ大学の先生たち。学内でも人気のプログラムで希望者が多く、選抜試験の成績で受講者が選ばれます。私は3年生から週4日、SCAT(現LEAP)を受講するようになって、英語力が伸びたと実感しています。受講当初のTOEICスコアは600点でしたが、今は750点を目指しています。

私は積極的な性格だと言われます。外国の文化に興味があり、学内でも積極的に多くの人と話すようにしています。また、いろいろな外国を見て感じてみたいと思い、2年生の春休みには、大学の短期語学セミナーに参加して、アイルランドへ行きました。3年生の春休みには、大学生協を通じて、カナダ人のガイドでヨーロッパをめぐるツアーに参加しています。いろいろな国を見ることができ、視野を広げることができたのではないかと感じています。

また、日本の文化についてもしっかり体験したいと、2年生から阿波おどりサークルに入部しました。夏には徳島へ行き、お祭りに参加して踊っています。

今年の夏休みは就職活動のために一時帰国する予定ですが、その前に3度目の阿波おどりに参加します。

経済を学ぶうちに国際政治に興味

3年生からは、「地域経済」について研究する藤井信幸教授のゼミに入室し、日本経済と外国経済の関連や、国同士の関連について研究しています。私が藤井先生の講義を初めて受けたのは、1年生の必修科目の「経済学入門」でした。第一印象は「とても厳しい先生」でしたが、講義は当時まだ日本語が上手ではなかった私でも理解できるような、わかりやすい内容でした。そこで、藤井先生のもとで学びたいと藤井ゼミを選んだのです。

ゼミの同期は25人。そのうち留学生は私一人です。月に一度のグループディスカッションの前には、ゼミの仲間と学食に集まって準備をしています。仲間と議論するためにも、授業が4限までの日は図書館にこもってテーマに関する資料を集め、準備をしています。藤井ゼミに入って、どんなことも一歩一歩しっかり取り組み、やりぬくことを学びましたね。

学びを進めるうちに、今では国際政治にも興味が広がりました。国と国の経済の発展には、政治が大きな役割を持っていることに気付いたからです。だからこそ、地域関係や政治摩擦についても深く学びたいと考えるようになりました。

日本と中国という国同士も、報道されている内容からお互いのことを判断するしかありません。そんな中でお互いの国をより正しく知るためにも、もっと自分で調べ、学んでいきたいと思っています。

卒業後の進路は、大学院進学か就職かで、どちらの可能性もまだ検討している段階です。できれば、東洋大学の大学院で1年学んだ後、アメリカの大学院へ交換留学したいのですが、日本か中国で自分に合う会社が見つかれば、就職をするという道もあると思います。どちらの道を選んだとしても、貿易の仕事をするという夢に近づくための一歩になるはずですから。

紀 筱舟さん経済学部 国際経済学科4年

  • 所属ゼミナール:藤井信幸ゼミナール
  • 出身国:中国
  • 出身校:上海農林大学出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです