昼間はアルバイトながらも要職についてバリバリ働き、高いヒールの靴もスタイリッシュにきまっている愛川優衣さん。そんなイマドキな佇まいの彼女の口をついて出てきた言葉は、意外にも「古典文学が好き。季節ごとのお節句も大切にしています」だった。雅な世界を堪能した大学生活もあと1年。4年間の集大成に、王朝文学の最高峰『源氏物語』の読み解きに挑む。

雅の世界を読み解く面白さ

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日本の王朝文学の雅やかな世界に惹かれて、大学で学ぶなら古典と決めていました。

卒論のテーマに選んだのは、古典文学でも一番好きな『源氏物語』です。王道の作品だけに物語の面白さは折り紙付き。和歌で恋のかけ引きをするなど、現代の感覚とはぜんぜん違うだけに、世界観に引き込まれるんです。

でも、ただストーリーを味わうだけでなく、深いところまで「読み解く」のは大学ならではの学び方ですよね。その時代の社会背景や登場人物たちの身分、そして物語に色濃く流れる仏教思想……。『源氏物語』は高校の頃も少し読んだことはありましたが、学科で得た知識を持って読むと、また違った世界が広がるんです。

今は現代語訳と原文の両方が載っている本をテキストにしていますが、古文の言葉表現についても学んでいるので、原文で読む方がより楽しめますね。わからないところは教授に質問したり、本で調べたり。資料が豊富に揃っている図書館は、大学のお気に入りの場所の一つになりました。

古典を味わい、日本の心を知る

私は古典文学を専攻していますが、学科名に「文化」とついているだけに、この学科では広く日本文化についても学べます。なかでも私が好きなのは、民俗学的なアプローチから日本の年中行事とその背景にある歴史や文化を学ぶ授業。お花見はもともと、花の咲き具合を見て、その年の穀物の出来具合の神意を占う行事だったそうです。日本人なのに日本について知らないことって多いんだなとあらためて思います。

その他、日本の行事はお花見やお月見、お節句など基本的に四季の自然と結びついています。古典にも日本の美しい自然風景がたくさん描かれていますし、そういうことを知ると、花が咲いたり、月が満ち欠けしたり、雪が降ったり、そんな季節がうつろうさまの一つひとつに風流を感じるんです。心を豊かにしてくれる学問。それが古典や日本文化を学ぶ魅力だと思います。

もともとお節句などの行事ごとは好きでしたが、意味を知ってもっと大切にするようになりましたね。3月3日には一人暮らしの部屋に小さなおひな様を、桃の花を添えて飾っています。

学びで培った豊かな心は一生モノ

高校卒業後、2年間の新聞奨学生を経て大学に入学しましたが、現在も学費や生活費は自分でまかなっています。昼間のアルバイトはもう3年ほど同じところで続けていて、企画などにも携わるようになりました。就職先としても誘われていますが、もう少し広い可能性を考えて、公務員試験をめざしてます。

イブニングコースには、いろいろな背景を持った学生がいます。現役学生もいれば、社会人として働いている人、年配の女性までいて、ここでなければありえない意外な交流が生まれるのも、イブニングコースの面白さですね。また1部と比べて少人数なので教授との距離が近くて、やる気さえあればより深い学びが受けられるのもイブニングコースならではなのかな、と感じています。

古典の世界に浸れるのもあと少し。この学科で培った教養や感性は一生の宝物です。残り1年の大学生活で、古典文学を存分に味わい尽くしたいですね。

愛川優衣さんイブニングコース 文学部 日本文学文化学科 4年

  • 福島県立いわき光洋高等学校出身

  • 掲載内容は、取材当時のものです