東洋大学第2部経営学会が主催する「2014年度 研究発表大会」が2014年12月に白山キャンパスで開かれ、第2部(イブニングコース)経営学部の各ゼミナールに所属する2,3年生による24チーム(個人/グループ)が1年間の研究成果を発表しました。本大会の意義は、研究を発表する経験やプレゼンテーション力を培うことはもちろん、自らとは異なる研究に取り組む、他の学生の考察を聞くことで、経営学の視野を広げられること。会場には発表を前に緊張しながらも、他チームの発表に期待をふくらませる大勢の学生が集いました。

学生ならではのユニークな研究から、実社会のリアルを切り取った研究も

経営学部の第2部(イブニングコース)に在籍する学生および教員によって構成される研究組織「第2部経営学会」。学問研究の推進と、教員と学生、そして学生同士の交流を目的としたこの組織の活動の中心を成すのが、毎年12月に恒例で開催される「研究発表大会」です。

今年の研究テーマも実に多種多様で、「コンピュータ・ゲーム」「ヘアスタイル」「AKB48」など、若い世代に身近な話題を、経営学の視点から考察する、学生らしいユニークな観点が光りました。聞き手の興味を喚起し、いかに注目を集めるかを工夫することも、プレゼンテーションのテクニックであり、ゼミ担当教官からも、そうした個性が現れた「テーマ設定」や「タイトルの付け方」を評価する声もあがりました。

一方で、第2部(イブニングコース)には、すでに社会に出ている学生も多く、特に個人で取り組んだ研究テーマには「航空会社の経営戦略とCRA活動」「ヤマダ電機とビックカメラから見る家電量販店の経営戦略」「任天堂成長の研究」など、自身の実体験や将来のキャリアアップを見据えた発表も目立ちました。

看護助手として働きながら学び、「将来は訪問看護ステーションのマネジメントに携わりたい」と語る近藤直道さんは、「給与から見る看護師の社会的評価〜看護師の給与は高いのか〜」をタイトルに、少子高齢化によって変化しつつある日本の医療体制のこれからを見据えた研究を発表。自ら実地に立ってきただけあって、看護現場の実状や課題についてのレポートやデータが、リアリティに富んでいたのが印象的でした。

201500902_02

活発な質疑応答で鍛えられる、プレゼン力と考察力

各チームに与えられた発表の時間は15分。その後、5分間の質疑応答タイムがあり、他チームや4年生からなる議長団、ゼミ担当教官から意見や質問が次々と投げかけられます。なかには想定外の質問もあったようで、思わず応答に詰まってしまう姿も。鋭い質問に説得力を持って応えるためには、発表の材料をそろえるだけでなく、研究テーマについてより深いところまで掘り下げることが重要であることを、学生たちは実感した様子です。しかし、こうした苦い経験もまた、考察力やプレゼンテーション能力を養う糧となるのです。

ゼミ担当教官や議長団からは、研究内容についての評価だけでなく、「クリアな説明をするための構成力」「資料のまとめ方」「参考文献の扱い方」といったプレゼンテーションのテクニックから、言葉遣いといった発表の作法に至るまで、細やかな助言がありました。また、また議長団は各発表を深く洞察した評価シートを記帳します。こうした指摘や評価を踏まえ、大会の後日にはさらに研究テーマをブラッシュアップします。そして研究内容を論文にまとめた「本稿」を提出した段階で、ようやく「研究発表大会」はひとつのゴールを迎えることとなります。

20150902_03

研究・発表・論文作成を通して、高まる学びのモチベーション

テーマ設定に始まり、参考文献やデータから客観的な見識を集めつつ、自ら考察することで独自の研究結果を導き出す。そしてその研究内容を資料に作成し、他の学生や教官の前で発表する。さらにそこで挙がった意見や指摘を踏まえて、すべてを総括した論文にまとめる。こうした一連の研究活動の経験は、4年間の学びの集大成である卒業論文に向けた絶好のトレーニングにもなっています。

何より第2部(イブニングコース)に在籍するのは、時間に制約がありながらも「仕事に活かす知識を身に付けたい」「キャリアアップのために専門分野を深めたい」という動機から学びの門を開いた学生たちばかり。その高いモチベーションを存分に発揮できる喜びが、この「研究発表大会」の会場にはあふれていました。

201500902_04

  • 掲載内容は、取材当時のものです