月別アーカイブ: 2016年8月

歴史を学ぶ際、丹念に史料を読んで考えることで、常識とは異なる自分自身の認識を持つことができます。このことを、織田信長が目指した「天下布武」を例に考えてみましょう。
「天下布武」は、「全国を武力で統一する」という信長の野望だとされていますが、本当でしょうか。実際、信長が上杉謙信へ送った朱印状では、天下布武という言葉は友好関係の中で使われいます。当時、「天下」という言葉は全国を指すのではなく、しばしば京都を中心とした畿内を指していました。信長は、「天下」を管轄するのは将軍で、「天下」は将軍が京都にいて掌握すべきものと考えていました。それは、当時の書簡や書状から読み取ることができます。その中で信長は、自分が擁立した足利義昭が、畿内征服戦争の後に京都に入ってから数年間、天下は平和だったと語るように、「天下布武」は、畿内が将軍の下に服属することを言っているのです。実際信長が「天下布武」という朱印を使い始めたのは、足利義昭を擁立し、京都に入る準備が整ってからです。これは、不用意に宣戦布告をしているのではなく、この朱印を使い続けることで、畿内を治めた自分の功績をアピールしているのだということがわかります。
このように、歴史学における史料の解読によって、重要かつ面白いことがわかってくるのだと知ってほしいものです。

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神田 千里教授文学部 史学科

  • 専門:日本中世史

今日の授業では、哲学という学問が現在を生きる私たちにとってどのようなものなのかを考えます。そのための材料として、ダキアのボエティウスの『世界の永遠性について』というテクストを用いて、そこで語られている「哲学の学問的な性格」を明らかにしてみます。
ダキアのボエティウスとは、13世紀のフランス、パリ大学の学芸学部の教師です。キリスト教カトリック全盛時代だった当時、この世界には始まりも終わりもないのか、それともあるとき突然始まったのかというのが、哲学と宗教の代表的な論争点でした。
授業では『世界の永遠性について』の一部を学生が板書し、文法的にどう理解しているのかを提示しました。その上で、どのような読み方の可能性があるのかを洗い出しながら、全員で「ふさわしい理解の仕方」を確定していきました。その結果、ダキアのボエティウスは、「哲学と信仰は、棲み分けする形でそれぞれがあればいい」と述べていることがわかりました。
哲学とは何か。その答えは、計算式を解いて出てくるようなものではなく、一見説明のつかないものもありますが、それらを合理的に捉え、「人間の生」「生きる」の「全体」を説明しようとすることそのものなのではないでしょうか。

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辻内 宣博准教授文学部 哲学科

  • 専門:西洋哲学史、西洋中世哲学、スコラ哲学、ビュリダン、徳倫理学

太陽活動は人類の生存になくてはならないものであり、文化や文明にも影響を及ぼしています。
太陽の内部にある太陽黒点は太陽活動のバロメーターです。太陽黒点の数は約11年ごとに増減を繰り返しますが、極大期を迎えているはずの2016年現在、黒点数が明らかに少ないのです。太陽活動は停滞期に入ろうとしているのでしょうか。
過去400年間の黒点数の変動を見ると、1645~1715年のマウンダー極小期、1790~1820年のダルトン極小期があり、これらの時期には世界的に寒冷化が進んでいました。
寒冷化が社会に及ぼした影響を見てみると、15世紀末~17世紀は西欧で毛織物の需要が増し、毛織物工業の発達が後に産業革命を誘発しました。18世紀~19世紀初頭は食糧増産のための技術革新が進み、これが農業革命につながりました。
太陽活動の極小期は近い将来必ず再来します。しかし直近の極小期では、人類は適切に対応し、危機を社会の発展に転じることができました。ピンチをチャンスに変えてきた先人たちの例に倣い、私たちも正しく畏れ、正しく対応していきましょう。

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萩原 喜昭准教授文学部 国際文化コミュニケーション学科

  • 専門:天文学、電波天文学

日本の「観光」が変わってきています。ここ数年、政府の予測をはるかに超え、インバウンド(海外から日本へ来る旅行者)が急増しており、各分野・地域・雇用にまで経済波及効果が大きく広がっています。観光の3つの要素で見てみましょう。観光対象については、歴史や文化から、エンターテインメント、医療、産業などへと変化しており、日本全体がショールームのようです。観光者は、急増している外国人だけでなく、障害のある人、高齢者など多様化しています。観光媒体についても、外国人が外国人に、またSNSなどによって情報が発信されるようになってきています。
こうした変化によって、観光産業が求める人材も変わってきています。異文化理解や、ニーズを的確に把握するために、障害のある人や高齢者、多国籍の人材が必要で、またその人たちをマネジメントする能力を有する人も必要です。そして、情報発信するためのITの能力や、多様な分野に興味を持つ人材の確保も必要です。サービス産業自体が海外進出しているという意味では、海外市場で活躍できる能力も必要です。
観光の目的が「楽しむ」から「こと・もの・体験」に変わってきているこれからの観光産業には、こうした人材が求められていると言えます。

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飯嶋 好彦教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:ホスピタリティマネジメント、ホスピタリティ企業が直面する経営上の諸問題に関する研究

2015年11月、東京都港区で開催された「TOKYO DESIGN WEEK 2015」のASIA AWRDS 学校作品展で、建築学科工藤和美研究室の3、4年生を中心とした総勢100名による作品が、世界中の学校の中から「School of ASIA」のグランプリを受賞しました。枝垂れ桜をイメージし「優しさ」を表現した作品「心衣 — kokoromo —」は、子供から高齢者まで幅広い年代で楽しめるインタラクティブ遊具として、高い評価を得たのです。指導にあたった工藤和美先生と代表を務めた土屋柚貴さん(4年)、渋谷達俊さん(4年)たちが取り組んできた半年間を振り返りました。(学年は2015年取材当時)

総勢100名で臨んだプロジェクト

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机上の学びによる知識に偏らず、社会と連携した実践的な学びを特徴とする理工学部建築学科では、日頃から街づくりの提案などさまざまな産学協同プロジェクトに参画し、学生らしい視点を生かした作品制作に取り組んでいます。今回の「TOKYO DESIGN WEEK 2015」への出展も、過去10年ほど続く取り組みで、毎年、工藤和美先生指導のもと、工藤研究室の学生を中心に、研究室や学年の枠を超えたプロジェクトとして、1年生から4年生までが参加しています。
2015年度は、土屋柚貴さんと渋谷達俊さんが中心となり、工藤研究室の学生が作ったポスターを学内に掲示して、2014年3月より建築学科の全学生から参加者を募りました。5月に開催した説明会には1年生から4年生まで80名ほどが集まり、プロジェクトへの関心の高さがうかがえました。
グランプリ作品はイタリアで開催される世界最大のデザイン見本市「ミラノサローネ」で展示されるとのことから、工藤先生をはじめ学生たちは、企画段階から「世界」を意識し、「日本らしさ」を大切にした“きれいな作品”をつくりたい、という思いを募らせていました。土屋さんと渋谷さんは時には意見を衝突させながらも、納得のいくまで議論を重ねて、作品のコンセプトから設計、構造、材料、スケジュール管理や予算管理まで考えてきたのです。「お互いに自分の考えを言葉で伝えるだけでは理解し合えないので、サンプルを作って検証して納得するということで前に進んできました。2人の意見がまるでパズルのピースのようにピタッと合った時の喜びは忘れられません」と土屋さんは振り返ります。

建築で大切なチームワークを実践

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1年生の参加者も多かったことから、5月から7月の2カ月間はワークショップを何度も開いて、参加者の意識合わせや制作に慣れ親しむ期間としました。本格的に制作をスタートしたのは7月のこと。どのような作品にするのか、どのような材料を使うのか、総勢100名にも膨れ上がったメンバーからアイデアを集めては、土屋さんと渋谷さんが話し合っていくつかのアイデアに絞り込み、工藤先生の助言を求めました。
「基本的に、学生の主体性や意欲を大切にしたいと考えています。実際に学生たちがつくりたいものをどのようにつくっていくか。つくる段階で注意すべきこと、特に安全面には注意を払い、そして、どうしたらきれいに見えるのかということなどをアドバイスしました。学生には何か問題にぶつかった時に、それをいかに解決していくかを思考し、判断していく力をつけてほしいと思います」と工藤先生は話します。
実際の建築の現場では、たくさんの人々がかかわり合うチームで仕事を進めていきます。“独りよがり”の考えではなく、チームとしての考えをまとめ、より良いチームをつくることが建築の世界では重要なスキルとなるのです。
工藤先生は「建築学科では4年生の前期にグループ設計という授業で、10人程度でのグループワークに取り組みますが、TOKYO DESIGN WEEKの取り組みは、学年の枠を超えた大人数でのプロジェクトであり、しかも、作品を展示し、建築関係者だけでなく一般の方に見ていただくということも意識しなければなりません。また、限られた制作期間のなかで、お金や時間の管理をするというマネジメント力も問われます。対外的な交渉力やコミュニケーション能力も求められます。学生にとっては、社会との関わりを持ち、さらに実社会での仕事の現場を体験できる機会となるのです」と、プロジェクトの意義を述べました。

日本らしさを表現した作品

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2015年度の作品は「心衣—Kokoromo—」。枝垂れ桜にインスピレーションを得て、言葉をまとう空間を提示し、「優しさ」を表現するというコンセプトのもとで、制作が始まりました。渋谷さんは「まず、日本語の多様性に気付いてほしいという思いがありました。そして、日本語の美しさを表すものとして、日本人の名前の漢字を淡いピンクのアクリル板に刻み、日本らしさを象徴する枝垂れ桜のように吊るしました」と説明します。
吊るされたアクリル板は1万3000枚。その1枚1枚に漢字が刻まれており、約5000語が選ばれました。メンバー全員の名前のほか、戸籍が初めて作られた700年代頃から現代まで、各時代の代表的な名前を刻み込みました。
実際に制作がスタートしたのは、作品展示のおよそ1カ月前のこと。わずかな制作期間のなかで、完成に持ち込むまで、土屋さんと渋谷さんはメンバーを統率しながら、さまざまな作業工程をパズルのように組み立てながらタスク管理をし、3、4年生を中心に制作を進め、1、2年生はただひたすらアクリル板をつなぎ合わせる作業に集中したといいます。
そうして迎えた「TOKYO DESIGN WEEK 2015」初日。設計者である土屋さんと渋谷さんでさえ、イメージは頭の中にあっても、実際に作品の完成形を目にすることはこの日までありませんでした。「あまりの美しさに感動して、思わず涙が出てしまった」と話す土屋さん。完成に至るまでに乗り越えてきた苦労が報われた瞬間でした。

心がつながり、絆が深まった

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しかし、予期せぬ出来事が待ち受けていたのです。初日の夜、木枯らし1号が東京の街を駆け抜けました。作品が倒れないようにと、ブルーシートで覆ったものの、むしろそれが風をあおってしまい、作品が倒壊してしまったのです。
初日から3日間が審査期間となっているなか、土屋さんや渋谷さんをはじめ、メンバーたちは必死で、作品の修復に着手します。そんな学生たちの姿を見て、出展している他大学の学生たちや、来場した親子連れなどが作業を手伝ってくれました。
「本来であれば2日目にはワークショップを予定していたのですが、それを急遽キャンセルしましたが、結果的に修復作業がワークショップのようになりましたね」と渋谷さんは心和んだ様子でした。
何とか1日で作品は修復でき、3日目からは展示を再開。審査にも間に合い、「心衣—Kokoromo—」は見事、「School of ASIA」のグランプリを受賞することができました。
「展示期間にいろいろな方が作品を見て、触れて、感じてくださいました。子供たちには、きらきらゆらゆらしているのが楽しかったようですし、若い世代は自分の名前を必死で見つけて写真を撮り、親子連れは子供の名前を見つけて喜び、年配の方は言葉の意味を感じてくださり、みなさんが親しみを感じてくださったようです。作品の空間に入った時に、『子宮の中にいるみたい』『懐かしい感覚がする』という声も聞かれて、制作者である私たちが意図しない作品の感じ方があり、うれしかったですね」と土屋さんは話します。
100名ものメンバーが寝る時間までも削って制作に没頭した1カ月間。「メンバーみんなが家族のような状態でした」と渋谷さん。「心衣はメンバー一人ひとりにとって、我が子のような感覚です。そして、会場で修復作業を手伝ってくださった方々も私たちにとってはチームです。修復作業を手伝ってくれた子供さんが後日再び作品を見て、『これは私たちの作品』と言ってくれたときには、本当にうれしかったですね」と喜びの表情を浮かべます。

海を渡り、世代や国を超えて愛された「心衣」

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「心衣—Kokoromo—」の制作を通して身に付いた責任感、そしてあきらめない気持ち。グランプリに輝いた結果と同じくらい、その過程で得たものは、何よりの財産だと感じているそうです。
企画段階から「世界」を意識して、「日本らしさ」を表現しようと考えてきた作品は、グランプリ受賞を経て実際に海を渡り、2016年5月、米国ニューヨークで開催された北米最大のコンテンポラリー・デザイン・家具見本市「ICFF 2016」でも展示されました。世界中の人々からも高い評価を得て、「この経験は一生の財産です。心衣がたくさんの人に愛されて、本当に幸せに思います」と、笑みを浮かべる土屋さんと渋谷さん。世代を超え、国を超えて愛される作品を生み出した2人の心に刻まれたこの経験は、これからの新たな挑戦へと踏み出す糧となることでしょう。

2016年8月19日(金)・20日(土)、東洋大学の4キャンパスで、オープンキャンパスを開催します。
キャンパスを実際に見て、雰囲気を感じてみたいというみなさんに、キャンパスを大公開。実際に学ぶ教室、図書館、東洋大学自慢の学食など、大学生気分を味わえるイベントを開催します。
オープンキャンパスだけの特別プログラムも満載です!
各キャンパスでみなさんの来場をお待ちしております。

■オープンキャンパス日時
開催日:2016年8月19日(金)・2016年8月20日(土)
時間:各キャンパス 11時より

受験バックアップ講座の開催場所・日程について、公開しました。
なお、今後も実施会場を更新予定ですので、お見逃しなく!

受験バックアップ講座は入試部スタッフが過去の一般入試問題について、あらゆる角度から解説!
出題傾向、出願のポイントなどを解説するイベントです。
ラストスパートの前に、受験のツボをしっかり押さえておきましょう。
全国各地で開催、参加費は無料です。

開催場所・日程の詳細はこちらから
受験バックアップ講座

現代では、すべての人がプログラミングを学ぶべきだという風潮があり、哲学、数学に続く第3の思考ツールとして重要になってきています。
プログラミングが新しい思考ツールとして成立するためには、人間の思考をフォローすることができなければなりません。その端的な例が、プログラムによる問題解決です。授業では「100以下のピタゴラス数をすべて求めよ(ピタゴラス数とはaの二乗+bの二乗=cの二乗を満たすa、b、cの組)」という問題を、学生たちが実際にプログラムを用いて解いてみます。
ピタゴラス数という簡単な問題であっても、組み合わせが複雑であると人間にはなかなか解けません。しかし、コンピュータはいとも簡単に解いてくれます。このようにコンピュータが人間の思考をフォローし、ペアになって新しい分野を開拓していくことで、人間自信の思考があたかも拡大していくような成長を遂げる。これが総合情報学部の目指す、新しい情報学をベースにした学問の体系です。プログラミングがいかにさまざまな学問に波及していくかということを、授業を通して学び、感じ取ってください。

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上原 稔教授総合情報学部 総合情報学科

  • 専門:ネットワーク、Web、分散システム、グリッド、プログラミング

下記の日程において入試インフォメーションセンター「学びGallery」を閉室させていただきます。

  • 8/6(土)~8/16(火)
  • 8/27(土)
  • 9/3(土)
  • 9/17(土)

皆様のご理解をお願いいたします。

東洋大学に開設されている「学びGallery」は、東洋大学や学びについて知りたい、入試情報を知りたい、大学生活について質問したいという、みなさんのための情報ステーションです。学生スタッフが一人ひとりに丁寧にご案内いたしますので、どうぞお気軽にお訪ねください。

学びGallery オープン時間

白山キャンパス:
月曜~土曜  9時~17時

朝霞キャンパス、板倉キャンパス、川越キャンパス:
月曜~金曜  9時~17時、土曜  9時~13時

  • ※:祝日、夏季・冬季休暇、大学休日等を除く
  • ※:上記日程以外にも、臨時に閉室させていただく場合があります。詳しくはお知らせをご覧ください。
  • ※:事前予約は不要です。お気軽にお越しください。

情報連携学部AO型推薦入試ジャンル・セレクト型(10月16日、11月13日、12月11日)で、「ジャンルA.コンピュータサイエンス型」の出願基準④「設定された課題プログラムを理解し、改良、拡張することができる」を選択される受験生対象の、課題プログラムを公開しましたのでお知らせいたします。

なお、対象の受験生は、掲載されたプログラムを改良・拡張し、以下のことについて説明いただきます。
「課題プログラムの概要」「自分で改良した点」「自分で拡張した点」「考察」

詳細は、入学試験要項ページでご確認ください。