月別アーカイブ: 2015年10月

内視鏡は体の中を見るだけでなく、腹腔鏡下手術などにも使われています。従来の開腹手術に比べて手術跡が小さい、入院期間が短いといった患者さんへのメリットが大きいのが特徴です。では、難しさや問題点はないのでしょうか。授業では内視鏡手術体験として、学生たちに模擬腹部内のシートを鉗子で切ってもらいました。使い慣れない鉗子では細かい作業がやりにくいなどという感想が出る中、回数を重ねると作業時間が短縮されるという結果も出ました。
難しい手術を易しくするためには2つのアプローチがあります。1つは医師の技術を磨くことで、そのためには3Dプリンターで手術練習用模型を作り、手術の練習をします。この模型は、インフォームドコンセントにも使われます。もう1つは道具の工夫をすることで、内視鏡手術を行うロボットなどが登場しています。模型も、新しい手術機器も、私たちが学んでいる理工学に深く関係しています。理工学は車やスマホ、建物をつくるというものだけではありません。理工学の力を医療にも応用することで、患者さんに笑顔を届けることが可能となるのです。

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山内 康司教授理工学部 生体医工学科 手術支援工学研究室

  • 専門:人間医工学/医用システム、機械工学/生産工学、加工学
    機械工学/機械力学、制御

2015年10月5日から9日までの5日間、霞が関ビルの霞テラスで「霞マルシェ2015」が開催されました。後半の3日間は「霞が関からまちおこし」がテーマ。各地のご当地グルメや物産品販売が行われたこのイベントに経営学部経営学科の井上善海ゼミが出展し、広島県呉市のまちおこし応援団として「呉海軍カレー」をふるまいました。

ゼミ生主体で企画から販売まで経営全般を担当

2011年から始まった「霞マルシェ」は、地域の隠れた特産品を紹介・販売し、地域活性化を支援することを目的としたイベントです。広島県呉市から井上先生のもとにコラボの打診があったのは、今年6月のことでした。
明治時代に呉鎮守府が開庁して以来、海軍とゆかりの深かった呉市。現在は海上自衛隊呉基地があり、港に停泊している護衛艦や潜水艦がまちの風景に溶け込んでいます。海軍時代の毎週金曜日はカレーを食べる習慣は海上自衛隊にも受け継がれていて、しかも各艦艇や潜水艦ごとに「秘伝の味」があります。そこに着目した呉市は、今年4月から市内の21軒のレストランで1店につき1種類、自衛隊から直接伝授された計21種類のカレーを提供する「呉海自カレー」をスタート。シールラリーも行われ、まちおこしの一端を担っています。

そのカレーを都内でも販売して呉の魅力を発信し、観光客の誘致につなげることが、今回の出店の目的です。井上先生はあえて口を挟まず、すべてをゼミ生に任せることにしました。
「私が主導しないことで、ゼミ生は『自分たちが主体的に動かなければ何も始まらない』ということを学んでいきます。ゼミでは合宿や工場見学なども実施していますが、それらもすべてゼミ生が企画しています。ただ、このような放任主義は、ゼミを引っ張る良いリーダーがいて初めて成り立つもの。ゼミ長の佐藤君をはじめ、沼口君・高橋君・渡辺君といったゼミ幹事の組織体制がしっかりしているので、今回のような初めての試みでも、私は一歩下がって見守っていられます」

ゼミ長である経営学科4年生の佐藤雄斗さんが最初に取り組んだのは、スケジュール管理でした。
「イベント当日まで約3カ月半という期間は、決して余裕があるものではありません。ある程度スピード感を持って進める必要があると思っていたので、『○日までに○を終わらせる』と、スケジュールはしっかり立てました。夏休みに入ると呉市東京事務所の方と打ち合わせをする機会が増え、さらにゼミ内での打ち合わせも密に重ねました」

企画から販売まで、経営の流れを実際に体験しながら準備が進む中で、佐藤さんが最も難しいと感じたのはゼミ生一人ひとりのタスク管理だったそうです。
「大学とのコラボに期待してくださっている呉市のスタッフの方や、この話を持ちかけてくれた先生に恩返しをしたいという強い気持ちもありました。そのため、ゼミ生のモチベーションを持続させ、みんなが楽しみながら進む方法を常に考えていました。しかし、モチベーションはゼミ生によって異なります。腰の重いゼミ生にもまずは参加してもらい、そこから本人に新しい発見や気づきを得てほしいと思っていました」

呉海軍カレー、40分足らずで100食完売

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「霞マルシェ」の当日を迎えました。
キッチンカーで準備を進めるゼミ生たち。販売開始は11時30分からですが、その前にもすでに買いに来る人がいるなど、首尾は上々です。今回売られる「呉海軍カレー」は、潜水艦で食べられていたものを再現したもの。呉市産業部観光振興課主任の濱田亜希子さんによると、「潜水艦は深海の三ツ星レストランと呼ばれるほど食事がおいしいので、今回はこのカレーを選びました。旨味が溶け込んだとろみが特徴で、最初はまろやかな甘さが広がり、その後ピリッとくる辛さが人気です」とのことです。

販売開始前から行列ができはじめ、いよいよ11時30分となりました。
「お昼に呉海軍カレーはいかがですか! かの山本五十六も食べた伝統のカレー、限定100食で販売しています!」
大きな声に引かれるように行列はどんどん伸びていき、キッチンカーの中は目の回るような忙しさになっています。アンケート記入をお願いするゼミ生、お金を受け取るゼミ生、カレーを袋に入れるゼミ生、アンケート回答者に記念品を渡すゼミ生…。誰もが自分の役割をしっかり果たし、作業の流れが滞ることもありません。そして初日、2日目とも呉海軍カレーは大人気で、行列は途切れることなく、両日とも販売開始から40分足らずで完売となりました。

経営を体験することで得られる学びもある

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2日目の販売終了後、井上先生に話を聞きました。
「サークルやゼミ内の取り組みではなく、学外での活動をここまで大々的にやったのは今回が初めてです。企画、仕入れ、お金のやりとりから外部との折衝を踏まえながらの進行も、ゼミ生にとっては初めてのこと。机上で経営を学ぶことはもちろん必要ですが、こうして社会人と関わりながら経営を体験することでしか得られない学びもあります。ゼミ生にはそれをつかんでほしいと思っていました。ゼミでは『社会人と語ろう』ということで、定期的にさまざまな職種の人を招いています。今回も、まずは呉東京事務所の方からゼミで呉市の歴史や町の話を聞くところから始まりました。そしてイベント当日を迎え、会場でゼミ生の働きぶりを見ていると、私が想像していたよりもはるかによくやってくれています。声もよく出ているし、キッチンカーの厨房もよく回っています。アルバイトの経験が生かされているゼミ生もいるのでしょうが、アルバイトは報酬をもらって自分に与えられた仕事を行うもの。今回は3日間限定ながらもボランティアで店を運営したわけですから、非常にいい経験になったことでしょう」

さらに井上先生は、霞が関で働く社会人が購買者ということで、社会人に囲まれた環境もゼミ生にとってはよい刺激になったと言います。
「呉市の方ともゼミ生が直接やりとりしました。東京事務所の方だけでなく呉市から足を運ばれる方もいて、自分達のまちおこしに協力してもらいたい、一緒にやりたいという熱い思いが伝わってきました。ゼミ生はそれを受け止めることで、経営を学んだだけでなく、地域活性化についても考えるきっかけになったことでしょう。今後も、呉市に限らずこのような話が来て、ゼミ生が『やる』と言ったら引き受けます。決めるのはゼミ生です」

ゼミ長の佐藤さんはこう話します。
「呉市の方の熱意が伝わってくるからそれに応えたい、そのために自分たちには何ができるかを考え、ゼミ生全員で取り組んできました。それだけに『完売しました!』の声は本当にうれしかったですね。明日の最終日は3年生を中心にやってもらおうと思っています。自分がゼミ長としてやってきたことを次のゼミ長に伝えていく、今はまさにその段階です。まず自分が動くことが大事、でも、一人で何でもやろうとするのは違う。その辺りを、次のゼミ長はじめ3年生が感じ取ってくれたらと思います」

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多くのゼミ生はアルバイトなどを通して、働く社会人を間近で見ているはずです。それでも同じ目的のためにゼミ生と一緒に汗を流す社会人の姿は、アルバイトの立場で見る職場の社会人とはまた違って映ったのではないでしょうか。
呉市東京事務所所長の伊牟田真治さんは「ゼミ生は我々では考えつかないような柔軟な発想もあり、学ぶことがたくさんありました」と述べ、呉から駆けつけた濱田さんは「ただ言われたことをこなすのではなく、『こうした方がいいんじゃないでしょうか』と提案してくれるなど、自分の意見をしっかり持っていることに感心しました」と話し、ゼミ生の熱意と頑張りは、呉市の方にもしっかり伝わっていたようです。

観光の分類のうち、「インバウンド」とは訪日外国人旅行を指します。日本を訪れる外国人旅行者は年々増えており、2013年にはついに1,000万人を超え、2014年には1,341万人となりました。インバウンドがここまで増加した理由は、世界的なマーケットの伸びの中でも、特にアジアが成長エリアであること、日本人旅行者の少ない3月に花見のピークづくりをするといった訪日プロモーションが功を奏したこと、ビザ緩和、円安、航空路線の新規就航や増便による訪日アクセスの向上などが挙げられます。しかし、それでも日本のインバウンドは世界的に見るとまだ順位が低いのが現状です。そこで、国は「観光を、日本経済をけん引する基幹産業に飛躍させ、2020年には訪日外国人旅行者を2,000万人とする」という政策目標を掲げました。これを実現させるためには、一定地域に訪日外国人旅行者が集中すると受け入れ人数に限界があるので、受け入れ余力のある地方へ訪日外国人旅行客を誘致することが不可欠です。地方誘客をどれだけできるかが、目標達成の成否を大きく左右することでしょう。

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矢ケ崎 紀子准教授国際観光学部 国際観光学科

  • 専門:観光政策、観光行政、観光分野の法制度、インバウンド・ツーリズム、観光需要平準化のための休暇改革

先進国の現代人は、1日の約90%以上の時間を室内で過ごします。人間の健康や生活の質に大きく影響するものに「空気の状態」があります。この見えない空気を含む室内環境の、省エネと快適性を両立させる技術の1つとして、自然エネルギーの利用があります。
自然換気を用いた室内の環境は、室内環境評価法によって調べます。風速、温度・湿度、汚染物質の濃度、各吸気口からの環境形成への影響を調べ、外部条件の影響を検討します。このように建物を建てる前に室内環境を調べることで、目に見えない室内の空気や温度をデザインしやすくなるのです。
自然換気を利用する際の課題としては、外気を室奥へどうやって導入するか、そして風上側と風下側の温度や風速の分布を、いかに少なくするかが挙げられます。また、自然換気は外部の影響を受けるので、騒音や、雨・花粉・虫の浸入などにも注意することが必要です。
省エネと快適性の両立可能な設計を目指すためには、風土を理解し、自然エネルギーを積極的に利用するための技術の蓄積が必要です。また、不均一な環境を利用した設計法の確立も今後の課題です。

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イム ウンス准教授理工学部 建築学科 建築環境デザイン研究室

  • 専門:建築学、建築環境・設備

青銅器時代の紀元前1700年頃、まだα、β、γといった文字が登場する前のクレタ文明やミケーネ文明の時代には、線文字A、線文字Bと呼ばれる文字が使われていていました。エーゲ海に浮かぶクレタ島を中心に海上貿易で栄えたクレタ文明が、なぜ滅びたのか。それにはテラ島(現在のサントリーニ島)の大爆発という自然災害説、クレタ人の反乱説、ギリシア人による略奪説…といったさまざまな説があるものの、その理由はいまだ確証されてはいません。このような説を踏まえたうえで、ミケーネ文明からもたらされたとされる線文字Bがクレタ島にも存在していることから、クレタ文明にミケーネ文明がどのように関わり、その文明を誰が崩壊に至らしめたのか、そしてなぜギリシア人はクレタ島を去ったのかといった新たな仮説を立てたとしても、それが文字で残された史料を用いて真実であると立証することは難しいことです。ギリシア史には今なお、解き明かされていない史実が多く存在します。歴史を学ぶ醍醐味とは、このように文字で残された史料から考えることにもあるのです。

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高畠 純夫教授文学部 史学科

  • 専門:古代ギリシア史、西洋史

飢餓による死者は世界で1日に2万5,000人以上と言われる一方、大量の食品廃棄が発生しているという矛盾があります。この「食品ロス」の問題に、食品微生物学はどのような貢献ができるのでしょうか。生鮮食品や弁当、総菜類の消費期限が2日程度のため、多くが廃棄されることを考えると、「保存性の向上(ロングライフ化)」が食品ロス削減に有効です。ロングライフ化をするためには、食品をなるべく低温で保管すること、包装内の空気を除去し、不活性ガスを充てんして密封するMAP(ガス置換包装)、適切な濃度の日持ち向上剤を配合するなどの方法があります。佐藤先生の研究室で行われた実験の結果、冷蔵温度を2度低下させたことで、惣菜類の消費期限は2日以上延長でき、日持向上剤を添加すると、さらに保存性が向上しました。これにMAPも組み合わせることで、さらなるロングライフ化が期待されます。
日本には「もったいない」という素晴らしい言葉があります。この「もったいない」の精神で、食品ロスの問題に対応していくことが大切です。

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佐藤 順教授食環境科学部 食環境科学科 食品微生物学研究室

  • 専門:食品衛生微生物の食品中での発育挙動、制御および測定法に関する研究

受験バックアップ講座の開催場所・日程について、全会場が決定いたしました。

受験バックアップ講座は入試部スタッフが過去の一般入試問題について、あらゆる角度から解説!
出題傾向、出願のポイントなどを解説するイベントです。
ラストスパートの前に、受験のツボをしっかり押さえておきましょう。
全国各地で開催、参加費は無料です。

「わかる」「わからない」「できる」「できない」でマトリックスを作ってみると、生まれたときは誰でも「わからない・できない」のマス目にいます。そこから「わかる・できる」のマス目を目指す、あるいは到達するのを手伝うことが「教育」の役目です。その過程には「わからない、けれどできる」や「わかる、けれどできない」といった段階があります。最近の教育では「わからなくてもできればいい」という1つの傾向があり、「わかるけれどできない」子供が、わかるまでゆっくり待ってあげられていないように思います。
また、「わかりましたか?」「できましたか?」は教師の禁句と言われています。何気なく発してしまう言葉ですが、生徒が「わからない」「できていない」と言いたいのに、それを妨げてしまう恐れのある言葉だからです。そもそも教師ならば、いちいち尋ねなくても、生徒を見てわからなければなりません。
教師を目指すみなさんが「教育」について考えるヒントは、意外と身近なところにあるものです。アンテナを張り、日常生活の中でヒントを探しつつ、学んでいきましょう。

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藤本 典裕教授文学部 教育学科

  • 専門:子どもの貧困、教育費負担、教員養成

人が食事をして「おいしい」と感じる要因には、食べ物の味や香りなどのほか、心理的、生理的なことも関わってきます。テクスチャーもその1つですが、テクスチャーの中でも特に植物性食品の「固さ」に焦点を当てて考えてみます。
野菜や穀類などの植物性食品は、加熱やphの変化で軟らかくなったり硬くなったりします。これは植物性の食品が持っているセルロースやヘミセルロース、ペクチンなどの細胞壁多糖類のうち、ペクチンの変化によるものです。Ph3以上の酸性の時は加水分解が起きて軟化し、ph5以上のアルカリ性の時はβ脱離が起きて軟化します。また、50℃~80℃に加熱された際には硬化が起こりますが、そのまま加熱を続けて80℃以上になると軟化が始まるので、硬化に気が付かないこともあります。ただし、50℃~80℃の温度帯にいつまでも置いてしまうと、それ以上軟らかくはなりません。
「食べ物が硬くなる」というとあまりいいイメージではないかもしれませんが、煮崩れ防止や、シャキシャキ感を残すなど、調理に役立てることもできます。自分で実際に調理をする際に、いろいろ試してみてください。

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飯島 久美子准教授食環境科学部 健康栄養学科 調理学研究室

  • 専門:豆および野菜の調理における軟化・硬化に関する研究

日本文学文化学科の冨澤郁葉さんは、能の『殺生石(せっしょうせき)』という演目を卒業論文のテーマに選びました。入学前に能を観たことはなく、授業や大学主催の能楽鑑賞会などから能への興味を深めていったといいます。「いろいろな日本文化を幅広く学びたい」と思い、この学科を志望しましたが、「人の話をしっかり理解し、自分の中に取り込めるようになった」と、成長を実感しています。今、卒業論文のための研究をしながら、自身の個性を生かすことのできる仕事を望み、就職活動を行っています。

日本文学を幅広く学びたくて

日本文学文化学科を志望したのは、「日本文化のいろいろな面を知り、学び、研究したい」と感じていたからです。小学3年生から今まで書道を続けていたり、また高校時代は箏曲部に所属し全国大会に出場したりするなど、ずっと日本文化に興味を持っていました。

東洋大学の日本文学文化学科は、日本文学の研究だけに偏らず、「日本の文化を広く、深く勉強できる」と感じました。それでも入学前は、「とはいえ日本文学に関する授業が多いのだろうな」とイメージしていました。でも、授業を受けてみると、本当に“日本の文化を何でも学べる”と実感し、「いろいろ観たり、楽しんだり」しながら学べるので、私の志向にとてもマッチしていたと思います。

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潜在的興味に気づく、多くの機会がある大学

1年生の秋に、大学内で能楽の鑑賞会がありました。そこで『土蜘蛛』という能の演目を観たのですが、「静かでゆっくりした動きだけれど、その中にきちんと表現が存在している」と感動し、それが能を研究していくきっかけとなりました。

また、3年生で受講した和田博文先生の「中世日本文学史」では、室町時代に演じられた能を再現した映像を鑑賞することができ、とても印象深い授業でした。
その頃の能は、動きが早かったり、ユーモアのある物語だったり、時代による演じ方や演出の違いに興味をそそられました。能は大昔、田楽やいろいろな芸能が混ざってできたのだと思いますが、もともとは多分チャキチャキしたものだったはずです。その後、幽玄能を作り出して、優美な雰囲気を取り込みながら今の形になっていったのでしょうね。幅広く深く、さまざまな角度から日本文化や能について学ぶことができたと思います。

日本文学文化学科の先生方は、本当に驚くほど専門知識が豊富です。本来授業でやるべきことに留まらず、どんどん深いところまで掘り下げて教えてくださるので、常に面白さと興味を感じながら学ぶことができます。真剣に専門知識を学ぼうとする学生も多いですね。
私自身、この大学で「しっかりと話を聞き、それをきちんと咀嚼し、知識として自分の中に取り込むことができるようになった」と、成長を感じています。

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ここで得た多くの知見を卒業論文で表現したい

3年生から能楽と狂言のゼミを取っていて、現在、『殺生石』という能の演目をテーマに研究を行い、卒業論文を進めています。昨年たまたま那須高原を訪れた時、実際に殺生石を見る機会があり、「ああ、この石が能の演目になっているんだ」と思い、この演目にどんどん興味を深めていったことがテーマに選んだ理由です。

『殺生石』は原典などはわかっておらず、おそらく太古からの伝承・伝説などがいくつか混じり合ってお話になっていたと思われます。能は基本的に静かな動きですが、この演目では石がパコッと割れたり、石の中から人が出てきたり、現在の能のイメージとは少し違う面白さも楽しみの1つ。面白がりながら研究できるので、この演目をテーマにして良かったと感じています。『殺生石』の研究の中に、他の授業などから得た数々の知見も織り込みながら卒業論文を完成させたいですね。
そうして卒業論文をまとめながら、私は就職活動も進めてきました。何か1つのことを実直にコツコツとやっていくことが得意であることを生かして働きたいと考えており、志望していた金融系の企業から内定をいただきました。今後はバックオフィス業務等に就き、多くの人を支えていきたい、と望んでいます。

冨澤 郁葉さん文学部 日本文学文化学科 4年

  • 所属ゼミナール:原田香織ゼミナール
  • 埼玉県立不動岡高等学校出身

もともとは特に興味がなかった教師を目指すきっかけになったのは、何人もの学校の先生から「先生に向いているよ」と言われたからだという、文学部日本文学文化学科の寺脇真耶さん。大学では古典、なかでも和歌に夢中になり、学ぶ喜びを実感する日々。教師という目標に向かって進みつつ、好きな分野の学問をとことん学べることが、楽しくてたまらないそうです。

「先生に向いているよ」と、いつの時代も言われた

小学校、中学校、高校と、先生方から「学校の先生に向いているよ」と言われていました。学級委員や生徒会、部活動の部長などの経験が多かったので、周囲からしっかり者と見られていたせいかもしれません。はじめは特に気にしていなかったのですが、何度も、いつの時代も同じことを先生方から言われるうちに、次第に教師を職業として意識するようになりました。そして、私が一番好きな科目である国語の先生になりたいと、自然と気持ちが固まっていったのです。

進路を決める際、国語が専門の担任の先生が、東洋大学の教職のカリキュラムについて教えてくれました。そして教員試験対策のフォロー体制などがしっかりしていることを知り、東洋大学への進学を決めました。学科については、幼い頃から好きだった文学について深く専門的に学びたかったので、日本文学文化学科を選びました。

入学してそう時間が経たないうちに、大学は高校と違って好きな分野の学問を好きなだけ探究していける場所なのだと実感しました。学科では1年生からゼミを選べるので、まずは近現代の都市文学を専攻しました。これは都市が出てくる文学について、なぜその都市を選んだかなど、その町の時代背景などと共に考察するというゼミです。私のグループは江戸川乱歩をテーマに勉強したのですが、大学ならではの切り口で文学を学べることは、とても刺激的でした。

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大学で和歌の魅力に引き込まれた

2年生になっても引き続き同じゼミで学んでもよかったのですが、「近現代を学んだから今度は古いものを勉強してみよう」と、古典のゼミを選びました。そうして万葉集を学び始めたところ、その世界に引き込まれ、あっという間に夢中になりました。植物を用いた色の名称の美しさ、「七夕」と書いて「たなばた」と読むようになった由来、誰かを思って揺れ動く心のさま。そういったさまざまなものがたった31文字の中に含まれている和歌を、一読しただけでは理解できなくても、丁寧に読み解いていくことで、どんどん深い意味が見えてきます。また、恋愛ネタについて詠まれた和歌などは、その気持ちが現代にも通じるもので、思わず共感を覚えます。「こういうことをすればあの人に会える」といったいじらしい願かけなど、1000年の時代を超えて心に響きます。

ゼミに入ったばかりの頃に比べて、今は上代の知識が多く身に付き、より深い解釈もできるようになりました。古典を通してその時代背景を知り、1000年以上前の人の気持ちが理解できる点に魅力を感じますし、古典という文学を通じて、日本の文化も学べています。

大学で学ぶことによって古典、とりわけ和歌が好きだということに気づくことができました。高校までは「国語が好き」という漠然とした思いで勉強してきましたが、絞り込んで深く学べる大学だからこそ、自分が追究していきたい分野が明確に見えたのです。

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学ぶ喜びと刺激をもらえる友人を大学で得た

将来は、国語が苦手な生徒にも「国語が楽しい」と、一度でも思ってもらえるような授業ができる教師になりたいと思っています。そのため、大学の授業では「自分が生徒だったらどのように説明されると理解しやすいだろう」と、常に考えながら受講しています。また、中学・高校の担任だった先生方には今も話を聞いていただいたり、大学の教職支援室にも話を聞きに行くなどして、目標に対するモチベーションを維持しています。

大学では教師という同じ夢を目指す友人に出会えました。とても意識の高い人なので話していると刺激を受けるし、私もさらに頑張ろうという気持ちにさせられます。将来の目標が同じということで相談もしやすく、その友人と話すことで、「目指す教師像」が明確に見えるようになりました。人との出会いは自分を成長させてくれると、大学生活で実感しています。

奨学金を受けていて、将来は自分で返済します。学びたいことを学ぶため、そして国語の先生になるために大学に進学したのですから、貪欲に勉強したいです。教職も履修しているので、1限から6限まで授業がびっしりの日もありますが、誰に強制されたわけでもなく私自身が選んだ道ですし、将来の目標に一歩ずつ向かっているので多少大変でも頑張れます。大学の4年間という時間をどう使うかは自分次第。後輩のみなさんには、「やりたいと思ったことは必ず実行する。知りたいと思ったことは必ず知って自分のものにする」という気持ちが、実りある大学生活へつながっていくことを伝えたいですね。

寺脇 真耶さん文学部 日本文学文化学科 2年

  • 所属ゼミナール:菊地義裕ゼミナール
  • 東京都立上野高等学校出身