月別アーカイブ: 2015年9月

アメリカ国立がん研究所は、がん予防効果が期待できる40種類の食品をリストアップしました。その中には日本古来の食品で、健康志向に有効である大豆が含まれています。しかも「最もがん予防効果が期待できる」カテゴリーに分類されています。
大豆に多く含まれ、がん予防効果を持つ大豆由来機能性成分に、BBIがあります。BBIは構造的に安定しており、経口摂取した場合でも生体内に安定して吸収されます。このBBIのがん予防作用メカニズムの1つに、がん抑制遺伝子であるコネキシン43の機能回復が関与しています。BBIによってコネキシン43が安定化し、がん抑制機能が十分に発揮されるのです。
臨床応用するためには、血液中のBBIを正確に測ることが重要なため、血液中のBBIの高感度定量法が確立されました。この測定法を用いて1日の適切な摂取量を証明できれば、今後のBBIによるがんの予防や治療に役立てることができます。しかもBBIは高濃度投与しても副作用が少ないという利点があるので、がん患者の生活の質を落とさずに済みます。今後の研究がますます期待されます。

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矢野 友啓教授食環境科学部 食環境科学科 分子病態栄養学研究室

  • 専門:がん病態生化学・制御、がん補完代替医療学、食品機能学

センター利用入試・一般入試・実技入試の入学試験要項を掲載いたしました。

本学では、冊子の入学試験要項は発行しておりません。
出願から合否の確認、入学手続まで、全て当サイトで行います。

入学後、さまざまな学びや活動から「環境」に興味を持つようになったという、国際地域学部国際地域学科国際地域専攻の成田早恵さん。「環境教育」を専門的に学ぶために、3年生から4年生にかけて、11ヵ月間の交換留学生としてドイツのマールブルク大学に留学しました。そこでは「持続可能な開発と平和構築」セミナーなどから刺激を受け、ドイツに根付いた環境教育を目の当たりにし、「環境教育」の重要性を実感。そして、将来の目標が教育者へと大きく変わりました。今、その夢へ向けて大学院進学を志望しています。

国際関係から環境教育へ、興味の幅が広がって

ドイツへ留学して、自分の意識が大きく変わりました。帰国したら就職活動をしようと思っていたのですが、将来の目標が大転換してしまったのです。しかし、大学入学時には、それほど留学したいとは考えていませんでした。

高校時代は、「国籍や人種の違いや男女差のないダイバーシティ(多様性)を推進するような仕事に就けたらいいな」と、漠然と思っていました。大学1年生の時、発展途上国のことを勉強したり、国際関係の新しい学びに触れたりして、「貧困をなくしたい、世界平和のために働きたい」と考えるように。2年生の時には、国際援助やボランティアについて学び、「援助は時として迷惑になることもある」とわかり、“人を助けること”の難しさに悩み、将来の目標を見失った時期もありました。ちょうどその頃、環境開発にも興味を持つようになり、ゼミで自然保護や環境教育について専門的に学ぶようになりました。

それほど留学に積極的ではなく、アメリカに行く友人が多かったので、なんとなく留学先にアメリカをイメージする程度でした。しかし、「環境」について専門的に勉強していると、どうしても“ドイツ”に関わることが多くなってしまう。そこで、「環境の専門的な学びをドイツでするのもいいかな」と、そのぐらいの気持ちで留学先を決めました。

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環境教育の先進国での刺激が、将来を変えた

ドイツのマールブルク大学の社会学部社会科学学科で学びましたが、国際開発研究学部や平和構築学部にもフレキシブルに参加できたので、セミナーを受けていました。特に、国際開発研究学科のセミナー「持続可能な開発と平和構築」が、私の今後の目標に大きく関わることになりました。

マールブルク大学での学びから、地球の将来を考える上で、持続可能な開発計画を策定することの重要性を認識しました。環境のことを考えずに開発をしても、公害問題が出てくると人間の生命に関わってきます。しかし、経済が発展していくためには、どうしても開発が必要です。結局、開発も環境も大事ですから、持続可能な開発を目指していかなければなりません。このことが、今後の国づくりや街づくりに生かされていくべきです。

ただ、この重要性を速やかに理解するためは、子供のうちから環境の大切さを教えることが必要です。そして、その基盤を築くのが環境教育です。将来的に、教育という分野の中で「環境教育」は非常に大事な分野になると推察しています。

留学当初、ドイツ人の環境への配慮が、私たちのそれとずいぶん違うと感じました。ドイツには「環境」という授業があります。彼らは子供の頃から“ゴミは分別すべき”で、ゴミがどのような過程で再利用・廃棄されるのかなどを学んでいるため、環境への理解度がとても高いといえます。

実はドイツから帰国したら、就職活動をする予定でした。しかし、ドイツでたくさんの先生や学生と出会い、「もっと勉強しなければならない」と感じて、大学院進学希望へと大転換しました。子どもの環境教育のマスタープログラムに触発されたので、大学院ではこれを専門的に学びたいと思っています。
目標は大きく変わりました。将来は環境教育を専門的に行う教育者になることを目指しています。

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この大学での、多くの活動と人との出会いに感謝

大学1年生の時はいろいろなことに手を伸ばして、例えば、フィリピンのコミュニティ開発サークルに参加したり、カンボジアでの教育ボランティアを手伝ったり、環境やエネルギー問題についても学んだりしていました。友人から「何を目指しているの?」と言われるほどだったんです(笑)。しかし、それらの活動を通して非常に多くの人と知り合うことができ、さまざまな世界とその先に枝葉のように広がっている物事を知り、自分にとってそれがとても良い刺激になったと確信しています。

正直に言って、自分が「環境教育を推進する教育者を目指す」ことになるとは、全く考えていませんでした。東洋大学に入学し、国際地域学科で学び、ドイツへ留学したからこそ、本当の目標を見定めることができ、挑戦していけるのだと思います。

このように、学生一人一人の個性を認め、いろいろな経験を積ませてもらえるところが、東洋大学の良さだと実感しています。

成田 早恵さん国際地域学部 国際地域学科 4年

  • 所属ゼミナール:荒巻俊也ゼミナール
  • 東京都立小山台高校
  • 留学先:ドイツ マールブルク大学

カリフォルニア州立大学モントレーベイ校は23校の大学によって構成されているカリフォルニア州立大学群に加盟する総合大学で、モントレー湾からほど近い場所にあります。近隣には山や湖もある自然豊かなこの地で、経営学部経営学科の成田遥亮さんと社会学部社会文化システム学科の堀友香理さんは留学生活を送りました。ディスカッションでの発言が苦手だという意識が誤りであったこと、日本人は文法がしっかり身についていることなど、ふたりは現地での学びを通じて、いくつもの発見をしました。

平日はひたすら勉強漬け、休日に息抜き

――お二人とも同時期にカリフォルニア州立大学モントレーベイ校へ留学されましたが、留学しようと思われたのはなぜですか?

成田:もともと英語が好きで、将来は通訳になりたいと思っていました。そこで英語力に磨きをかけるためにも留学したいとは思っていたのですが、その思いは漠然としたもので、具体的なアクションは起こしていませんでした。転機となったのは、友人が交換留学したことです。大学にそのような制度があることを初めて知り、一気に気持ちが動きました。

堀:私は英語科がある高校に通っていたので、当時から周囲がどんどん留学している環境でした。しかし高校時代は留学のタイミングを逸してしまったため、大学では2年生で留学しようとあらかじめ計画し、入学してすぐ準備を始め、1年生の夏にTOEICで810点取りました。カリフォルニア州立大学モントレーベイ校を選んだのは、この大学の「グローバルスタディーズ」という学部の授業を受けてみたかったからです。

成田:私は、約5,000名の学生数と東洋大学よりもこぢんまりした規模ゆえに、ディスカッション形式の授業が多いというところが気に入りました。自分が主体的に参加できる形式の授業を受講したいという希望があったので、この大学を選びました。西海岸のモントレーベイという場所も魅力的でした。

堀:実際、モントレーベイは素敵な町でしたね。海に近く、ビーチでのんびりしているだけでもリフレッシュできました。成田さんとは一緒にグランドキャニオンへのグループ旅行にも行きましたよね。

成田:あれは楽しかったですね。現地での生活に慣れてくると、休日を利用して各地を旅行するようになりました。一方、「こんなはずではなかった」と感じたのは、モントレーベイが思いのほか寒かったことです(笑)。カリフォルニアという響きから、もっと暖かい土地だと思っていたのです。実際は、モントレーベイは夏の最高気温でも22度と、朝晩は羽織るものが必須でした。堀さんも寒かったでしょう?

堀:ええ。想像していたより寒くて、現地でニットの服を買いました(笑)。それからもう1つ想像以上だったのは、勉強が大変だったことです。もちろん大変だろうということは覚悟していたのですが、その覚悟をはるかに上回る大変さでした。平日に遊んでいる暇など全くなかったですね。

――それほど学業が大変だったのですか。

堀:平日は7時起床、8時から10時まで授業を受けた後、正午までは図書館で自習です。昼食を挟んで2時まで授業を受け、そこから8時までは再び図書館で自習をしてから帰宅、0時に就寝という日々でした。とにかく勉強漬けです。

成田:私も似たようなスケジュールです。8時に起床し、9時から正午まで授業、午後は1時から6時まで再び授業です。その後、9時まで図書館で予習と復習をしてから帰宅するという毎日でした。基本的に勉強は大学でするようにして、自宅は休息する場所と、オンとオフの区別をつけていました。

堀:私も勉強は大学で済ませるようにしていました。自宅では、自炊を頑張りました。

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英語でのディスカッションで得た自信

――大学で印象深かった授業はありますか。

堀:前期の「ジャパニーズマインド」です。日本語学科のあるカリフォルニア州立大学モントレーベイ校には、当然ながら日本について知りたいという学生がいます。そういった学生とディスカッションするという授業でした。この授業でディスカッションを経験したことは、お互い大きな財産になりましたね。

成田:私もその授業を受講しましたが、「自分はディスカッションが苦手」という意識が誤りであることに気づけました。ディスカッションに参加できないのは不得手だからではなく、結局のところ英語がネックになっているだけで、自分の意見そのものは持っているわけです。ですから語学力がアップすればどんどん発信できるのだと思い至り、新しい世界が拓けた気分でした。堀さんもしっかり発言できていましたよね。

堀:はい。最初はどうしても気後れしがちだったのですが、勇気を出して発言したら、先生がその内容を褒めてくださって。それからは積極的に発言できるようになりました。

成田:あとは、自分が経営学科在籍ということもあり、後期に受講した「組織行動学」が非常に面白かったです。これは働く人々の行動や組織のあり方、リーダーシップなどについて学ぶ経営の授業で、内容が高度な上に受講している学生の意識も高く、大いに刺激を受けました。前期より英語力もアップしていたので、余計に授業の面白さを実感できたのだと思います。

堀:私の場合は、もともと受講したいと思っていた「グローバルスタディーズ」の学部の授業が、やはり期待を裏切らないものでした。 「Understanding Globalization」という授業では、そもそもグローバルとは何かということから始まり、時事問題についてグループディスカッションしたり、人権問題や難民問題について語り合ったりと、まさにグローバルの名にふさわしい授業でした。

成田:また、アメリカで学んでいくうちに、日本人は英語の基礎がしっかり身についている、つまり文法に強いということがわかりました。ルームメイトだったフランス人とドイツ人は会話こそ流暢でしたが、文法については私のほうがよほど理解していました。基礎をちゃんと学べているというのは、日本人のいいところですよね。

堀:確かにそう思います。「話すのが苦手」とディスカッションではあまり発言できないといった日本人の場合でも、読み書きの能力は長けているので、エッセイを書くとしっかりした内容になります。先生から「日本人のエッセイを読むと私も勉強になる」と言われたこともありました。

――留学生活は順調でしたか?

成田:最初の3カ月は言葉の壁が高く、精神的に追い詰められることもありました。そんな時は、留学経験のある日本の友人に電話して話を聞いてもらうことで、誰もが同じような思いを乗り越えているのだと自分を鼓舞しました。

堀:私は留学生活を通じて何度も浮き沈みがありました。授業についていけなくて落ち込むことが多かったですね。「ほかの人にはできていることがなぜ自分にできないのか、それは努力が足りないからだ」と自分を厳しく叱咤したり、その一方で、「人と比べてもダメだ」と思ったり。心が揺れている時は、日本人のルームメイトに話を聞いてもらったりしていました。

成田:留学して間もない頃は、英語力アップのために日本人とは話さないようにしようとしていました。しかし、日本人留学生の姿をあちこちで見かける環境下では、そういう気負いもストレスになっていたのでしょう。無理するのをやめたら堀さんたちとも旅行するようになって、すっかり楽しくなりました(笑)。

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英語を学ぶためには英語力が必要

――留学して良かったと思うのはどんな点でしょう。

成田:留学するまでは自分に自信が持てず、自分の考えを発言することを恐れているような面もあったのですが、帰国後は怖がらずに発言できるようになりました。英語でのディスカッションを経験したおかげです。

堀:私も留学前までは新しいことにチャレンジするのを怖がったり、尻込みしたりするタイプだったのですが、恐れずにやってみようと思えるようになりました。成田さんと同様、ディスカッションで思い切って発言するといった経験が、前向きな気持ちを後押ししてくれるようになったのだと思います。また、大学では英語を学ぶだけでなく、多様な文化を持つさまざまな国の人と知り合うことができたのも大きな収穫でした。

成田:留学したことで、自分には通訳は向いていないということもわかりました。通訳は英語力のみならず、日本語能力も求められる仕事だということを悟ったからです。私には、日本語のバリエーション豊かな言い回しを使いこなすことはできません。その代わり、現地ではたくさんの人に助けてもらった経験から、今度は自分が海外から日本にやってくる人をサポートしたいと思うようになり、現在は、ホテルなどを中心に就職活動をしています。

堀:将来は社会に貢献できる仕事がしたいと考え、できればグローバル化の進んでいる企業で、海外勤務も含め、英語を生かせる環境で働ければと思っています。

成田:私も海外で働く機会があれば、喜んで行きたいです。

――最後に、留学したい人へ向けてメッセージを。

成田:最初の3カ月、とにかく頑張ってください。そして平日は学業に専念し、休日は思いきり遊ぶ、と、メリハリをつけることが充実した留学生活を送るコツだと思います。

堀:留学前にどれだけ英語力を伸ばしておくか、それによって現地での生活は大きく左右します。私は1年の夏にTOEICで810点取ってから、2年で留学するまでに時間が空いたため、英語力を維持するのが大変で、留学した当初は本当に苦労しました。「英語で学ぶためには英語力が必要」なのです。帰国後に再びTOEICを受けたところ、900点取ることができました。けれど、これも維持する努力をしなければ、また英語力は落ちてしまいます。留学前、留学中、そして留学後も、常に英語を学ぶ姿勢を保つことが大切だと思います。

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成田 遥亮さん経営学部 経営学科 4年

  • 所属ゼミナール:石井晴夫ゼミナール
  • 千葉県立磯辺高等学校出身
  • 留学先:アメリカ カリフォルニア州立大学モントレーベイ校

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堀 友香理さん社会学部 社会文化システム学科 3年

  • 所属ゼミナール:小西康夫ゼミナール
  • 私立八戸聖ウルスラ学院高等学校出身
  • 留学先:アメリカ カリフォルニア州立大学モントレーベイ校

奈良時代の奈良の都から出土した木簡「長屋王家木簡」に、「西宮」と書かれているものがあります。これは長屋王の邸宅の「西の方」にあるから「西宮」で、そこには長屋王の妻が暮らしていました。
天皇の居住する内裏に男性が入れなかった奈良時代、女官としてすべての情報を掌握できる女性は大きな政治権力を持っていました。皇后も内裏には居住せず、「西の方」に住居がありました。皇后が内裏の中に住むようになったのは、平安京に遷都した桓武天皇の時からです。平安京の内裏には「北の方」に皇后の住む場所があり、そこから貴族の妻は「北の方」と呼ばれるようになったのです。
平安時代の女性は政治に関わらなくなったので、奈良時代から平安時代にかけては女性の権利などが大きく変わりました。男性中心の社会が生まれてくるのが平安時代だということも、西宮の新しい木簡からわかります。このような出土文字資料は毎年増えているので、この資料を手掛かりに「新しい歴史の理解」をすることができます。大学で古代史を勉強するには、まだまだ無限の資料があると期待されます。

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森 公章教授文学部 史学科

  • 専門:日本古代史、地方支配の歴史的変遷、東アジアの国際関係、木簡学と都城の生態など

記憶には、覚えていられる時間が異なる短期記憶と長期記憶があります。さらに長期記憶には、言葉で説明できる陳述記憶とできない非陳述記憶があります。
陳述記憶の座は海馬で、記憶に特化した機能を持っています。古い記憶についてはあまり関係していませんが、陳述記憶の固定化に重要な役割を果たしています。
脳の中には、ニューロンという細胞があります。これは2種類の突起を持ち、お互いにシナプスという接点でつながってネットワークを形成しています。ニューロンには経験や環境によって変化する柔軟性があり、それをシナプス可塑性といいます。
ニューロンネットワークは活動依存的な可塑性を持っていますが、では海馬のニューロンネットワークはどうなっているのでしょうか。海馬の中には3つのシナプスがあり、その3つで情報を回しています。先生の研究によると、その中の1つであるLTP(シナプス伝達効率の長期増強)が、記憶の形成過程と密接な関係があることが判明しています。

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児島 伸彦教授生命科学部 生命科学科 分子神経生物学研究室

  • 専門:脳内シナプスの発生と可塑性を司る分子の研究

持続的開発なくして人類の未来はありませんが、環境というのは脆弱で、有限で、未知なものです。そこで、持続的開発のためにわれわれができることは何かを考えると、“Think globally, Act locally”、つまり“大きく考えて小さく行動する”を実践することができます。先生の場合はモデル生物“メダカ”を使い、環境健康科学研究を行っています。
メダカを使った実験というのは小スケールですが、実験で得られた結果をいかにして考えていくかが非常に重要になります。現在行っている研究には「モデル生物“メダカ”で環境生物と人生態系を守る」という大きなタイトルを付けていますが、その根底には科学的な根拠があります。そして、その科学的根拠を見渡すような哲学的なビジョンさえあれば、“Think globally, Act locally” でも結果を伴う実のある研究ができるのです。小さなメダカも、ヒト疾病モデル生物として人類の幸福に貢献しているのです。
この研究を通して、環境の安全性を評価することができます。持続的開発のための環境生態系評価手法を開発し、人類の幸福に貢献することが、先生の研究が目指すところです。

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柏田 祥策教授生命科学部 応用生物科学科 環境健康科学研究室

  • 専門:環境汚染化学物質の環境生態系および生物進化への影響

修道院が海に浮かんでいるように見える、幻想的なモン・サン・ミシェル。小学生の時にテレビでそれを見た経済学部国際経済学科の松田恵里沙さんは心を奪われ、将来はフランスで暮らそうと決意します。そのためには何をすべきか計画を立て、コツコツと努力を積み重ねた結果、フランスのストラスブール大学への留学を果たしました。留学生活で松田さんが得たものは、語学力だけではありません。海外で暮らしたことで日本の良さに改めて気づき、それを世界に発信したいと思うようになったのです。

幼い頃から抱いていた「フランスで暮らす」という強い思い

小学生の時にテレビでモン・サン・ミシェルを見て、「この世にあんなに美しい場所があるのか」と感激し、その瞬間からフランスに魅せられました。その後もフランスへの思いは強まり、「いつかフランスで暮らすんだ」という決意も、小学生の時点で抱いていました。フランスで暮らすためには現地での仕事が必要で、仕事をするにはフランス語力が必要で、フランス語を学ぶためには留学する必要があり、留学するためには一定の成績が必要で…。つまり、フランスで暮らすという夢を叶えるためには、中学、高校、大学といつでも勉強を頑張り、それなりの成績を維持していなければならないということです。ですから、日々の勉強が大変だと思うことがあっても、それがフランスへの道につながっていると信じ、常に努力し続けてきました。

大学に入ると、いよいよ交換留学に向けての準備を始めました。これまでずっと勉強したかったフランス語も、ようやく学び始めました。本当はもっと早くから始めたかったのですが、中学や高校の授業にフランス語はありません。大学の成績に直結しないフランス語の勉強に時間を割くなら、今は大学の成績を上げるための勉強をするべきだと考えていたのです。また、大学の国際センターには頻繁に足を運び、フランスの留学先や奨学金に関する情報をチェックし、常に留学へのモチベーションを保つようにしていました。

2年生の夏に書類選考、そして11月には面接がありました。この面接は、人生でこれほど緊張したことはないというほど緊張しました。これで小学生の頃から胸に抱いてきたフランスへの思いが実現するか決まると思うと、緊張しすぎて体は震え、涙まで出てしまったほどです。それでも晴れて合格することができ、奨学金も交換留学生とJASSO(日本学生支援機構)の両方を受けることができました。

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最悪の10日間を乗り越え、留学生活をリスタート

小学生の頃から憧れていたフランスでの生活ですが、実は最初の10日間が留学生活の全期間を通じて最悪の日々でした。まず、寮の部屋が想像を絶する汚さだったのです。窓枠には蜘蛛の巣が張り巡らされ、そこに何匹もの虫が引っかかっていて…しかも見知らぬ人にあとを付けられるという出来事もあり、私がこの寮に住んでいることがその不審者にわかってしまいました。そこで寮を出て、スコットランド人2人とアメリカ人1人のルームメイトがいるアパートへ引っ越しました。

とはいえ、転居がスムーズに進んだわけではありません。別の寮に引っ越すつもりで何軒も問い合わせたのですが、どこも「私的な理由で寮は変えられない」と受け入れてもらえなかったのです。ストラスブールに来てまだ数日しか経っていないのに日本に帰るわけにはいかないという思いと、先の見えない不安で、心が折れそうでした。Wi-Fiがつながるショッピングセンターまで行って母に電話し、状況を説明しているうちに涙が止まらなくなりました。すれ違った幼い男の子が大泣きしている私にびっくりして、立ち止まって見ていたほどです(笑)。引っ越しできてからはようやく気持ちが落ち着き、改めて留学生活のスタートを切ることができました。

現地での生活は、平日は起床後、朝食と家事、そして授業の予習などを済ませてから大学へ向かいます。授業はあえて多く履修せず、比較的ゆとりのあるスケジュールを組みました。私はもともと何を学ぶのにも人より時間がかかるタイプなので、あまり欲張らず、少ないコマ数に絞ってとことん学ぼうと思ったからです。授業が終わると友人とお茶をしたり夕食の買い物をしたりして、19時には帰宅。共同キッチンで自炊して夕食を取ってからは復習と宿題に取りかかり、そして日本の家族や友人とスカイプで話してから就寝という流れでした。休日はフランスの国内外に出かけ、陸続きのヨーロッパならではの気軽な旅を楽しみました。

現地では日本語、英語、フランス語を書いたオリジナルの単語帳を作り、それを活用していました。また、大学1年生の頃からやっているのですが、市販の参考書をより自分用にカスタマイズするという形のノートも作っていました。

授業で印象深く残っているのは、「何を話してもいい」というテーマのグループワークです。ペアを作って自由なテーマで発表することになり、私は中国人の女性と対話形式でバカンスの話をしました。ペアを組んだ最初の頃は、私には「海外では自分の意見をどんどん積極的に言ったほうがいい」という思い込みがあったので、彼女との話し合いでもかなり強めに主張していました。すると次第に雰囲気が悪くなり、時には険悪な空気になってしまうこともありました。そこでようやく、大事なのは自分の意見を持つことであり、それを強く主張するというのはまた別の話なのだということに気づいたのです。ならば日本にいる時と同じでいいのではと、伝え方を変え、かつ相手の話も丁寧に聞くようにしたところ、彼女とはプライベートでも共に時間を過ごすほど親しい友人になれました。

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フランスで暮らしたことで生まれた日本への思い

留学生活は慣れてきた3カ月頃が落ち込みやすいと聞きますが、私もそうでした。生まれて初めての一人暮らし、拙い語学力、やりたいこととやるべきことがごちゃごちゃになって混乱するなど、一気に負の要素が噴き出した感じでした。誰にも会いたくない、何もしたくないという暗い気持ちだったのですが、12月に入って町中がクリスマス一色の華やかな雰囲気になったことで、次第に楽しい気持ちを取り戻すことができました。ただ、大好きな家族と離れて暮らしているというホームシックとは、フランスに滞在中ずっと付き合っていた気がします。

留学したことで気づいたことはいろいろありますが、なかでも強く感じたのは日本の良さです。清潔な部屋、時間通りに運行する電車、治安の良さ…今まで当たり前だと思っていたことは、当たり前ではなかったのだと知りました。また、フランスで「日本人です」と言うと、好意的な人が多かったのも印象的でした。私の中の「日本人でよかった」という思いと「日本が好き」という思い、どちらも留学生活を経て生まれたものです。そのため、フランスで仕事をして生活したいという思いは今もあるものの、それ以上に、日本の良さを発信するような仕事をしたいと考えるようになりました。フランスで暮らしたことで日本の技術の高さも改めて実感したので、それを世界にさらにPRしたいと考え、現在はIT関連の企業を中心に就職活動中です。

大学に入ったら留学したいという人は、大学に入る前から努力が必要です。私も中学や高校の時からフランス語を学びたかったものの、それをこらえて大学の勉強に専念することで、成績という結果を出すようにしていました。しかし、もしも残念ながら留学が叶わなかったとしても、それまでの努力は決して無駄になりません。自分の実となり、必ず別の場所で役立ってくれると私は信じています。

松田 恵里沙さん経済学部 国際経済学科 4年

  • 所属ゼミナール:道重一郎ゼミナール
  • 私立桜美林高等学校出身
  • 留学先:フランス ストラスブール大学

この度の大雨により被害を受けられました皆様方に、謹んでお見舞い申し上げます。
大変困難な状況に陥ることを余儀なくされました多くの方々の身の上を、心より案じております。
一刻も早く復旧されますよう、ひとえにお祈り申し上げます。

9/12(土)のオープンキャンパスは、4キャンパスとも予定通り開催いたします。

交通機関などへの影響がでておりますので、ご来場の際には、十分ご注意頂きますよう、お願いいたします。

最近は、食べ物に、健康に良い成分が含まれていることが望ましいとされており、機能性表示食品などと呼ばれています。では、機能性表示食品が健康に良いことをどのように証明しているのでしょうか。
例えば普通のパンに抹茶を加え、抹茶入りパンという機能性パンを作ったとします。お茶にはカテキンが入っているため、健康に良い、抗酸化性がある、などと言われます。そこで、本当に抗酸化性が上昇しているのかを調べてみます。
抗酸化性の上昇は、人体に有害なラジカルを除去したかどうかで判断することができます。ラジカル除去能力が上昇したかどうかを検証してみたところ、上昇しているという数値が出ました。しかし、実験結果には誤差が生じます。そこで、科学的・数学的手法として、「有意差検定」により統計処理をします。有意な差があるかについて、数値を調べ、実験結果を検証するのです。
こうした統計処理は、データを科学的に分析できるため、商品開発をはじめ、さまざまな場面で役立ちます。目的に応じた、科学的・数学的な手法をしっかりと学んで、今後の研究や開発に役立てていきましょう。

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吉江 由美子教授食環境科学部 食環境科学科 食物学研究室

  • 専門:新規発酵食品の呈味・成分ならびに機能性の変化に関する研究、解凍条件によるにおい成分の発現に関する研究、イセエビの成長による体成分変化

人々が満足できる社会にするためには、「合意形成」が不可欠です。
上水システムを例に、合意形成を考えてみましょう。日本の水道水質は世界でもトップクラスですが、誰もが水道水を飲んでいるわけではありません。ベイジアンネットワークという方法で水道水を飲まない原因を調べたところ、水道水質への不安が高いこと、その不安は環境問題への意識の高さから生じていることが判明しました。
では、水道水のもっとも望ましい姿はなんでしょうか。安い方がいいのか、あるいは安全が一番なのか。安全を求める人は水道水に対して根本的な不安があるので、極限まで有害物質を取り除いた水道水でも飲むとは限らないでしょう。そこで、水道水質の正確な情報を提供し、環境問題に対する正確な理解を促すのです。そうすればお金をかけずに水道に対する不安を取り除くことができ、かつ、安いほうがいいと言っている人とも、根本的な対立が解消する可能性があります。
このように、行動には必ず原因があり、原因の裏には真の原因が潜んでいます。それを取り除くことが問題解決へとつながります。ビジネスの社会ではこれをソリューションと呼びます。

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大塚 佳臣准教授総合情報学部 総合情報学科

  • 専門:都市環境工学、都市環境システム、環境行動心理

東洋大学第2部経営学会が主催する「2014年度 研究発表大会」が2014年12月に白山キャンパスで開かれ、第2部(イブニングコース)経営学部の各ゼミナールに所属する2,3年生による24チーム(個人/グループ)が1年間の研究成果を発表しました。本大会の意義は、研究を発表する経験やプレゼンテーション力を培うことはもちろん、自らとは異なる研究に取り組む、他の学生の考察を聞くことで、経営学の視野を広げられること。会場には発表を前に緊張しながらも、他チームの発表に期待をふくらませる大勢の学生が集いました。

学生ならではのユニークな研究から、実社会のリアルを切り取った研究も

経営学部の第2部(イブニングコース)に在籍する学生および教員によって構成される研究組織「第2部経営学会」。学問研究の推進と、教員と学生、そして学生同士の交流を目的としたこの組織の活動の中心を成すのが、毎年12月に恒例で開催される「研究発表大会」です。

今年の研究テーマも実に多種多様で、「コンピュータ・ゲーム」「ヘアスタイル」「AKB48」など、若い世代に身近な話題を、経営学の視点から考察する、学生らしいユニークな観点が光りました。聞き手の興味を喚起し、いかに注目を集めるかを工夫することも、プレゼンテーションのテクニックであり、ゼミ担当教官からも、そうした個性が現れた「テーマ設定」や「タイトルの付け方」を評価する声もあがりました。

一方で、第2部(イブニングコース)には、すでに社会に出ている学生も多く、特に個人で取り組んだ研究テーマには「航空会社の経営戦略とCRA活動」「ヤマダ電機とビックカメラから見る家電量販店の経営戦略」「任天堂成長の研究」など、自身の実体験や将来のキャリアアップを見据えた発表も目立ちました。

看護助手として働きながら学び、「将来は訪問看護ステーションのマネジメントに携わりたい」と語る近藤直道さんは、「給与から見る看護師の社会的評価〜看護師の給与は高いのか〜」をタイトルに、少子高齢化によって変化しつつある日本の医療体制のこれからを見据えた研究を発表。自ら実地に立ってきただけあって、看護現場の実状や課題についてのレポートやデータが、リアリティに富んでいたのが印象的でした。

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活発な質疑応答で鍛えられる、プレゼン力と考察力

各チームに与えられた発表の時間は15分。その後、5分間の質疑応答タイムがあり、他チームや4年生からなる議長団、ゼミ担当教官から意見や質問が次々と投げかけられます。なかには想定外の質問もあったようで、思わず応答に詰まってしまう姿も。鋭い質問に説得力を持って応えるためには、発表の材料をそろえるだけでなく、研究テーマについてより深いところまで掘り下げることが重要であることを、学生たちは実感した様子です。しかし、こうした苦い経験もまた、考察力やプレゼンテーション能力を養う糧となるのです。

ゼミ担当教官や議長団からは、研究内容についての評価だけでなく、「クリアな説明をするための構成力」「資料のまとめ方」「参考文献の扱い方」といったプレゼンテーションのテクニックから、言葉遣いといった発表の作法に至るまで、細やかな助言がありました。また、また議長団は各発表を深く洞察した評価シートを記帳します。こうした指摘や評価を踏まえ、大会の後日にはさらに研究テーマをブラッシュアップします。そして研究内容を論文にまとめた「本稿」を提出した段階で、ようやく「研究発表大会」はひとつのゴールを迎えることとなります。

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研究・発表・論文作成を通して、高まる学びのモチベーション

テーマ設定に始まり、参考文献やデータから客観的な見識を集めつつ、自ら考察することで独自の研究結果を導き出す。そしてその研究内容を資料に作成し、他の学生や教官の前で発表する。さらにそこで挙がった意見や指摘を踏まえて、すべてを総括した論文にまとめる。こうした一連の研究活動の経験は、4年間の学びの集大成である卒業論文に向けた絶好のトレーニングにもなっています。

何より第2部(イブニングコース)に在籍するのは、時間に制約がありながらも「仕事に活かす知識を身に付けたい」「キャリアアップのために専門分野を深めたい」という動機から学びの門を開いた学生たちばかり。その高いモチベーションを存分に発揮できる喜びが、この「研究発表大会」の会場にはあふれていました。

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児童相談所における児童虐待相談対応件数は上昇を続け、2013年には7万3000件を超えました。児童相談所は「社会的養護」に子どもたちをつなぐ役割を担っています。「社会的養護」とは、家族と暮らせない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。「社会的養護」には大きく分けて「家庭養護」と「施設養護」があります。施設養護の一つである児童養護施設では保護者のない児童、虐待されている児童などを養護し、さらに退所した者に対する相談や援助を行っています。入所児童は虐待が6割、障害を持つ子どもが約2割で、専門的なケアの必要性が増してきています。
授業では、児童養護施設で働いている子ども支援学専攻の卒業生から、仕事の難しさや、大学で学んだ知識や技術が現在どのように役立っているかなどのメッセージを聞きます。また、施設長からのメッセージにあったように、児童養護施設職員には、幅広い社会経験などの「豊かな人間性」と、ソーシャルワーク、ケアワークの知識などの「高度な専門性」が求められます。子ども支援学専攻では、特にソーシャルワークをしっかり身につけてもらうことを目指しています。

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鈴木 崇之教授ライフデザイン学部 生活支援学科 子ども支援学専攻

  • 専門:子ども家庭福祉

『介護者とは誰を指すのでしょうか。日本ケアラー連盟の定義では、ケアを広範囲にとらえ、「要介護高齢者や身体的・知的・精神的などの障害者の介護、難病などの看病、病児や障害児の療育、依存症やひきこもりなどの家族や知人の世話や気遣いなど多様なケア役割を担っている人をケアラー(無償の介護者等)』としています。
現在の日本では、老老介護、認認介護、そして実子介護が増える傾向にあり、さらに介護者の2~3割はうつ状態にあると言われています。認知症の介護家族を例に挙げると、「気の休まるときのない介護」「家族生活が混乱」「先行きに大きな不安」「孤立無援」という4つの苦しみがあり、追い詰められた結果、介護殺人が起きてしまうという痛ましいケースもあります。福祉の発達したイギリスでは、介護者支援の4つのモデルがあるほか、1995年には介助者法も制定されています。しかし、日本ではまだ制度としては整っていません。したがって、日本では、介護者支援の理解、介護者支援の政策化、介護者支援方法の明確化という課題に取り組んで行く必要があります。

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渡辺 道代准教授ライフデザイン学部 生活支援学科 生活支援学専攻

  • 専門:社会福祉学、介護する家族への支援など