文学部長メッセージ

東洋大学文学部 学部長 中山 尚夫
Hisao Nakayama
「文」の東洋
東洋大学の創立が、明治20年(1887)に学祖井上円了博士が、本郷龍岡町の麟祥院に私立「哲学館」を開設した時にあることはよく知られているところです。以来120余年、一貫してその主軸となってきたのが今日の文学部です。円了先生は、有為の若者に哲学を教え自主的に物を深く考える力を養い、その人材や能力を基として新しい豊かな社会を築くことを目指しました。我が文学部はこれを継承実践して現在、哲学・思想を中心とした学習研究を行う哲学科・インド哲学科・中国哲学文学科、言語・文学・芸術芸能を中心とした学習研究を行う日本文学文化学科・英米文学科・英語コミュニケーション学科、歴史・歴史学についての学習研究を行う史学科、人間の心理や発達・教育などの学習研究を行う教育学科という多彩な八学科を擁し、様々な大きな成果を上げています。<「文の東洋」>と称される所以です。人間のありかたや生きる意味そして文化など、「人」「世」という根源的なことについて、時代の中で深く考える世界。これが文学部の学習世界と言えます。
「理を究め、世を潤す」
必要以上と思われる利便性や刹那的快楽追求の結果、効率優先主義的軽薄的社会となり、本来、自然・環境と豊かに共存すべき人間の未来が見えにくくなっている混迷の現代。こうした大きなうねりの時代だからこそ、私たちは各々が、自らの人生観・歴史観・世界観をはっきりと持って自主的に歩まなくてはなりません。自然を見つめ社会を見つめ自身を見つめながら、いかに生きるかどういう社会を築くかということを深く考えて実践することが、「今」そして「未来」を生きる「人」としてあるべき姿だと思います。そのためにも私たちは、古今東西の人々の歴史・言語・生活・思想・芸術芸能などを知る必要があるでしょう。これらを追究理解することの一助として、すなわち自身や社会を考えることの手段の一つとして文学部での学習や研究を活用してほしいと思います。円了先生は「理を究め、世を潤す」と言われました。文学部で学ぶ若者一人一人が、白山の地で培われた学問と精神とを基軸にして、潤いのある社会構築に貢献する役割を担ってほしいと思っております。