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Student Voice

ドイツの成年後見制度における「本人意思の尊重」の現状を修論の題目とし、
実践者である職業世話人を対象に調査研究を行っています。
大学院修了後は、研究テーマである成年後見制度のあり方を、
実践するためにドイツで就職する予定です。

社会福祉学専攻※1博士前期課程2年
丸茂あい菜

※1 福祉社会デザイン研究科社会福祉学専攻は
社会福祉学研究科社会福祉学専攻へ2018年4月に改組されます。

Student Interview

福祉社会デザイン研究科社会福祉学専攻
博士前期課程2年在学中
丸茂 あい菜さん

海外の社会福祉実践に興味があり、
大学院進学を決めました。

Q.大学院に、進学しようと思った
動機・経緯は?

大学を卒業後、ドイツのBethelという社会福祉施設で1年3カ月の研修を行いました。
日本では、社会福祉士の実習や保育士・幼稚園教諭の実習で福祉現場について学びましたが、ドイツでの現場経験は日本で経験したものと大きく異なっていました。ドイツと日本の違いについてとても興味深く感じ、大学院で国際的な視野を持って社会福祉について学んでみたいと思いました。

Q.なぜこの大学院を選んだのか?

学部時代にお世話になった先生に大学院進学を相談したところ、東洋大学大学院を勧められました。

Q.大学院で学んでみて気づいたこと・
発見したことはありますか?

物事をさまざまな人と深めていくことが大切だという点が一番の気づきであったと思います。自分の経験や知識だけで物事を考えていくのは、限界があります。指導教授から指導を受けるのはもちろんですが、研究を続けている博士後期課程の先輩方や現場経験が長い方、また、留学生などさまざまなバックグラウンドを持った学生が大学院にはいます。自分の研究を、ゼミや報告会などで周囲の人と共有して意見をもらうことが重要であったと思います。

Q.大学院の魅力は?

「知りたい」「学びたい」と思っていたテーマについて、とことん向き合えることだと思います。また、さまざまな人と出会うチャンスが多く、視野を広げることができるのも魅力だと思います。

Q.大学院での学びを通して得たもの

自ら行動に移さなくては、何も始まらないということです。興味があると思っていることでも、自分でデータや文献を収集したり、勉強会に参加したりしないと学びにはなりません。私は、論文のテーマについてだけではなく、興味があることはもっと積極的に学べばよかったと後悔することがありました。今後、この経験を生かして学んでいきたいと思います。

Q.論文の研究テーマ・授業の内容

ドイツ成年後見制度における「本人意思の尊重」の現状 ―職業世話人に対するコンフリクト状況についてのインタビュー調査を通して―

Q.指導を受けた教員とのエピソードを教えて下さい。

社会福祉学研究指導  稲沢 公一 教授
修士論文を執筆するため、ドイツでインタビュー調査を行いました。インタビュー対象者を現地で探さなくてはならず、データを収集することができるか不安でしたが、稲沢先生に励まして頂き、勇気が出ました。また、私はインタビュー調査を行うのは初めてでしたが、話を聞く際のポイントなどを丁寧に教えて頂きました。さらに、データを分析するにあたり、稲沢先生とのやり取りを通して情報を整理し、可視化していきました。

Q.大学院での学びが、
今どんな形で役立っていますか?

修論執筆にあたり、とても役に立ちました。また、私は外国の方に日本について説明する機会が多くあります。そのような際、私の経験から話をするだけではなく、客観的なデータを示して説明するようになりました。

Q.お金のやりくり方法や授業料などの捻出方法や、
生活費のやりくり方法など工夫した点や家族や
職場のエピソードなどがあれば
教えてください。

アルバイトをすることで学費を捻出しました。私の場合、ドイツで調査を行ったので、研究のための費用を稼ぐのが大変でした。また、両親からも多くの支援を受けました。東洋大学大学院の第1種奨学金も大きな助けとなりました。

Q.現在の1週間、
または1日のスケジュールは?
月曜日 講義 研究
火曜日 TA 研究
水曜日 講義 研究
木曜日 講義準備 アルバイト
金曜日 講義準備 アルバイト
土曜日 研究 語学の勉強
日曜日 休日
Q.今後、東洋大学大学院を
目指される方たちへのメッセージを

私は、大学院に入学した生活をあまりイメージせずに進学してしまいました。

そのため、当初は目標を見失ってしまうこともありました。
先生のアドバイスもあり、1年次後半からは充実した研究生活がおくれました(仮原稿)これから大学院を目指そうとするみなさんは、何のために大学院に進むのか、何を研究したいのかということを明確にし、有意義な生活を送って欲しいと思います。

プロフィール

2009年群馬医療福祉大学児童福祉専攻入学。2015年に東洋大学大学院へ進学。現在は博士前期課程に在籍中。
ドイツの成年後見制度における「本人意思の尊重」の現状を修論の題目とし、実践者である職業世話人を対象に調査研究を行っている。
大学院修了後は、研究テーマである成年後見制度のあり方を、実践するためにドイツで就職の予定。

(掲載されている内容は2017年2月現在のものです)
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福祉社会デザイン研究科社会福祉専攻
博士前期課程2年在学中
陳 海生さん

人生は利己的でなく利他的です。

Q.大学院に、進学しようと思った
動機・経緯は?

私の故郷中国は、少子高齢化が注目されています。そして、一人っ子の政策の影響で421モデルの家庭の高齢者が安心して暮らせる環境づくりも大きな課題となっております。
私は、中国での、大学学部では高齢者福祉分野の専門の学者に、指導を受けまして、大連を例にして中国の介護市場に進出した日本介護事業者の現状と課題について研究しました。しかし、現在の中国においてこの分野の研究と応用は依然と遅れています。
日本は高齢化先進国として、高齢者福祉のモデルが欧米よりも中国にとって特に参考になる価値があると思っております。高齢化先進国である日本では、社会福祉が充実しているし、シニアビジネスに関して多くの企業が他国にはないノウハウを有しています。
それで、日本で大学院に進学して、高齢者福祉に関する研究を行い、理解を深めたいと考えました。

Q.なぜこの大学院を選んだのか?

社会福祉に関係する法律や政策というバックグラウンドを持つ教授方より指導して頂けるからです。

Q.大学院で学んでみて気づいたこと・
発見したことはありますか?

提案力が大切だという点が一番の気づきであったと思います。大学院での講義を通じ、問題の発見力、問題の深いレベルでの理解力、問題解決のための思考力・判断力、自分のアイデアを相手に適切に伝える表現力などが身につけられなければなりません。修士論文執筆を問わず、就職・仕事中でも、課題を捉え適切な提案を行うことが重要だと考えます。

Q.大学院の魅力は?

大学院は深く学ぶ場所だという点が魅力であると感じます。大学院では、自分で学術的な問いをもとにテーマを決めて、自分の立てた問いへの答えをだすために、幅広い専門的知識と研究方法や研究遂行能力、さらには専門分野を超える幅広い視野などさまざまなことを身につける必要があります。そうしたなかで、新たな発見、知への探求を目指すところに大学院の魅力だと感じています。

Q.大学院での学びを通して得たもの

論理的思考力が以前に比べ付いてきたと感じます。研究および論文執筆を通して、知識や経験をうまく対応させることによって、根拠のしっかりとした考え方ができるようになったと思っています。また、グループで研究を前に進められるようになりました。ゼミ―で自分の研究した結果を文書化して、公開・共有することや、他人の公開した情報にコメントを付けたり、他人と議論ができる力が身につきました。

Q.論文の研究テーマ・授業の内容

中国高齢者介護サービスにおける利用者保護の課題とあり方 ――日本との比較を通して――

Q.指導を受けた教員とのエピソードを教えて下さい。

社会福祉政策特論  藤林慶子教授
社会福祉政策特論の授業では、先生から一対一でご指導いただいて、学術的な問いをもとにテーマを決めて理解を深めることができました。1年生の講義で修士論文を書くまでの基本的な流れや考え方、データのまとめ方など、先生方から丁寧に指導していただけました。また、研究会で情報をいただいて、その結果、高齢者福祉分野を多面的に見る力がついたと思います。

Q.大学院での学びが、
今どんな形で役立っていますか?

グループで研究を前に進められるようになることについて今のところで役立っています。

Q.お金のやりくり方法や授業料などの捻出方法や、
生活費のやりくり方法など工夫した点や家族や
職場のエピソードなどがあれば
教えてください。

私の場合は両親に出してもらいバイトもしていますが、東洋大学は様々な奨学金制度がある為、多くの学生は利用しているように感じます。

Q.現在の1週間、
または1日のスケジュールは?
月曜日 研究 就活
火曜日 研究 講義準備
水曜日 研究 講義
木曜日 研究 講義
金曜日 研究 アルバイト
土曜日 研究 アルバイト
日曜日 講義準備 アルバイト
Q.今後、東洋大学大学院を
目指される方たちへのメッセージを

多角的で国際的な視点から研究するには、もっとも良い学術的な環境であると思います。入学前に関連分野の基礎知識を重視して下さい。大学院では、基礎的知識を前提として授業や実習を進めますから。また、自分の研究に関する知識だけではなく、幅広い知識も重視して下さい。

プロフィール

中国四川省出身。大連交通大学の情報工程学院で社会福祉を学ぶ。
2013年来日、岩谷学園テクノビジネス専門学校で日本語を学ぶ。
2015年東洋大学福祉社会デザイン研究科社会福祉専攻入学。故郷には祖父母が暮らしているが、彼らにも、日本の高齢者の方のように幸せに暮らしてほしいと、日本に来てからもっと思うようになる。
現在は博士前期課程に在籍中。中国高齢者介護サービスにおける利用者保護の課題とあり方――日本との比較を通して――を修士論文の題目とし文献研究を行っている。
大学院修了後は、日本で、社会福祉関係の民間会社に就職予定。

(掲載されている内容は2017年2月現在のものです)
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福祉社会デザイン研究科社会福祉学専攻
博士前期課程2年在学中
章 佳麗さん

大学院の学びに、期待しながら、頑張りましょう。

Q.大学院に、進学しようと思った
動機・経緯は?

交換留学生として日本に来ました。一年間過ごして、日本の多くの良いところに惹かれました。特に、バリアフリーの環境づくりにすごく関心を持ちました。母国では車椅子を使って一人で自由に移動出来ることは不可能です。日本ではありふれた現象です。これをきっかけとして、日本の社会福祉学を大学院で研究し、将来、母国の環境整備に役立てたいと思ったからです。

Q.なぜこの大学院を選んだのか?

一つ目は、東洋大学には留学生のよりよい研究環境があり、留学生に対する奨学金の充実、学費の減免などを実施しているからです。
二つ目は、自分の研究テーマを専門とする教員がおられたからです。

Q.大学院で学んでみて気づいたこと・
発見したことはありますか?

研究そのものに対して、新しい認識ができ、社会調査の意義と面白さを感じました。新しい発見ができることを楽しみにしています。

Q.大学院の魅力は?

自分の関心があるテーマに集中することができます。また、先生方から違う視点のコメントがいただけ、そして、先輩方との経験の共有が、とても大切だと感じています。

Q.大学院での学びを通して得たもの

制限時間内に、あらゆる情報をわかりやすく説明できるプレゼンテーション能力とわかりやすいレジュメのまとめ方。また、論理的な考え方、証拠がある発言をすることです。

Q.論文の研究テーマ

コミュニティワークによる高齢者向けのサロンへの支援 ~小地域福祉活動の展開と推進の研究~

Q.指導を受けた教員とのエピソードを教えて下さい。

一年生の秋学期から、およそ毎週一回の頻度で指導教員との論文指導面談がありました。自分が一番気づいたことは事前勉強とまとめの重要性です。つまり、自主性のことです。一番感動したのは、留学生として多くの壁がありますので、先生は私がわかるまで、何回も優しく説明してくれました。そのおかげで深く理解でき、ことばと文化の壁をこえました。

Q.大学院での学びが、
今どんな形で役立っていますか?

客観的、論理的に考えることです。

Q.お金のやりくり方法や授業料などの捻出方法や、
生活費のやりくり方法など工夫した点や家族や
職場のエピソードなどがあれば
教えてください。

学費は親からの仕送りがありますが、生活費に関してはアルバイトと奨学金で過ごしています。

Q.現在の1週間、
または1日のスケジュールは?
月曜日 社会学部教務 アルバイト
火曜日 社会学部教務 アルバイト
水曜日 フリー(自分の時間) 授業
木曜日 フリー(自分の時間) 授業
金曜日 アルバイト 研究
土曜日 アルバイト 研究
日曜日 家で休日 研究
Q.今後、東洋大学大学院を
目指される方たちへのメッセージを

留学生にとって、大学院では専門的な研究とともに、各種文化の勉強ができ、多様な視点の考え方が身につきます。皆さんも、大学院での新しい発見を楽しみにしてください。

プロフィール

中国の上海出身。日本のアニメに興味があり、母国で日本語が学べる大学に進学しようと決意。
2013年中国の上海第二工業大学日本語学部を卒業。日本への交換留学の経験から、日本の大学院進学をめざす。
2015年4月東洋大学大学院へ進学。現在は博士前期課程2年に在籍中。

(掲載されている内容は2017年2月現在のものです)
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福祉社会デザイン研究科社会福祉学専攻
博士前期課程2年在学中
王 曼曼さん

高齢者福祉制度が整備している日本の経験を
学びたいと思ったことがきっかけでした。

Q.大学院に、進学しようと思った
動機・経緯は?

私は元々日本が好きで中国の黄河科技大学での学部の専攻は日本語科でした。大学2年生の時、中国の老人ホームでボランティアをしまして、福祉に興味がありました。その時点で、将来高齢者にかかわりがある仕事に従事したいという思いがありました。
その際に、中国より30年早く高齢者社会に入り、高齢者福祉に関する制度が整備している日本の経験を学びたいと思ったことがきっかけです。

Q.なぜこの大学院を選んだのか?

私は研究の目的は実践にあるとずっと思っています、大学院を卒業した後、現場で働きたいです。それで、この大学の「研究、実践の両面から、現場に成果を還元する」という理念に魅力を感じました。

Q.大学院で学んでみて気づいたこと・
発見したことはありますか?

国際的な視点から見れば、中国は日本の高齢者福祉に関する経験を参考にすることは大きな意味があると考えますが、両国は政治、経済、文化の違いがあり、各地の実情に合わせて参考にすることが重要だと思いました。

Q.大学院の魅力は?

教授から丁寧かつ熱心なご指導はもちろんのこと、ゼミで発表する内容のまとめと学生同士の意見交換により、自分の能力を高めたところは魅力的です。また、視野の広さと深さの深刻により、物事に対する考え方が変わったところには大学院の魅力を感じました。
●NPOセンター祭り 新宿 2016
また、在学中に、新宿NPOネットワーク協議会で行った活動の会場設営・準備・片付けなどを手伝い、NPOをはじめ社会貢献団体の会議及びセンター祭りに参加するなどし、皆さんと交流し、お互いに情報交換などにより、私は地域の課題や社会的な課題及び解決方法について再認識できました。社会福祉の研究を実施するために、現場で楽しみながら情報収集ができました。

Q.大学院での学びを通して得たもの

1つは自分の考え方を証明する方法です。自分の考え方だけを言ったら、相手は信じてくれないかもしれません。それを証明する論拠を探す方法を学びました。もう1つは物事を多面的に考察することが重要だと学びました。

Q.論文の研究テーマ

中国福祉祉教育における介護職員の養成 ―日中比較から見た介護職員の専門性―

Q.指導を受けた教員とのエピソードを教えて下さい。

社会福祉政策計画特論 秋元美世教授
私は大学の専攻が日本語でしたので、福祉学の基礎が弱いです。卒業論文の計画書を書く時、そのテーマで卒業論文を書けるかどうかわからなかったです。その時秋元先生は私を否定するのではなく、私が書きたいことに巡り、資料を調べさせて、実行可能性がある方向へ導いてくれました。そして、論文を書く途中、先がわからない時何度も相談に乗っていただいて先のことが明らかになりました。ここまで辿り着いたのは本当に先生のおかげです。

Q.大学院での学びが、
今どんな形で役立っていますか?

大学院での学びが生活の所々で役立っています。特に、日本の社会福祉を学んだ後、新たな視点から中国の高齢者福祉の現状とこれから発展していく方向を考え直しています。

Q.お金のやりくり方法や授業料などの捻出方法や、
生活費のやりくり方法など工夫した点や家族や
職場のエピソードなどがあれば
教えてください。

普段はバイトによりもらった給料を使って生活しています。授業料には、東洋大学の留学生授業料減免制度を利用しながら、夏休みと春休みの時、バイトする時間を増やし、稼ぎました。足りない部分は親からもらいました。

Q.現在の1週間、
または1日のスケジュールは?
月曜日 介護現場でアルバイト
火曜日 介護現場でアルバイト
水曜日 午前中新宿NPOネットワーク協議会でボランティアをする 5限 講義
木曜日 研究室で研究 5限 講義
金曜日 研究室で研究
土曜日 休日或いは研究室で研究
日曜日 介護現場でアルバイト
Q.今後、東洋大学大学院を
目指される方たちへのメッセージを

東洋大学は留学生に対して、良い環境を提供していると思います。まじめな態度があれば、先生の指導をいただけて、楽しい院生経験になると思います。

プロフィール

2009年中国の黄河科技大学に入学。
在学中は日本語を学ぶ。
ボランティア活動で、高齢者福祉に興味をもち、日本に留学を決め、日本語学校に入学し大学院進学をめざす。
2014年7月日本語学校に入学。
2015年4月東洋大学大学院へ進学。
現在は博士前期課程2年に在籍中。中国福祉教育における介護職員の養成―日中比較から見た介護職員の専門性―を修論の題目とし調査研究を行っている。

(掲載されている内容は2017年2月現在のものです)
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Professor Interview

福祉社会デザイン研究科
ヒューマンデザイン専攻
森田 明美教授

児童福祉を研究することとは、
人々の暮らしや社会福祉に対する
「信頼」と「希望」を創造すること

Q.教員としてご自身の専門分野を踏まえ、
「研究者として研究」することの意味とは?
児童福祉を研究することとは、人々の暮らしや社会福祉に対する「信頼」と「希望」を創造すること
社会福祉学研究は「実践学」であり、その実践は社会福祉課題を抱える人々を支え、問題解決に向かう意欲とその方法を示すものでありたいと思います。その研究は、社会福祉問題を解きほぐし、その問題を当事者とともに解決をするための方法をさがし、組みあわせたり、不足するものを作りだしたりすることです。けれども、残念ながら、現代日本における社会福祉学は、社会福祉問題を抱える当事者にあてにされなくなっているし、また問題を解決するために支援をする行政や実践現場からあてにされなくなっています。社会福祉研究とその実践の創造は挑戦的であり、一人ひとりの幸せを具体化できる素晴らしいものです。とりわけ児童福祉の分野の研究は子ども自身がこれまでは当事者として尊重されてこなかったということもあるため、こうした新しい視点の取り組みが重要です。
Q.教員としてご自身が、
研究者になった経緯をご紹介ください。
保育施設での死亡事故で子どもを失った当事者との出会いが研究者となったきっかけです
女性が働き続けるための保育実践研究を始めた学部生のころ、保育施設で子どもを亡くした保護者の方々との出会いがありました。人間として当たり前のことであるはずの「社会の一員として働きたい」ということの実現のために、子どもの命を引き換えにしなければならないような社会は変えなければいけないと思い、地域で子育てする人たちや子どものために良い保育施設がつくられる政策や実践を作るために保育研究を始めました。1980年には「劣悪なベビーホテル」問題が社会問題、国会でも取り上げられるまでになり、私が当事者の人たちと一緒に行った調査をもとに、マスコミが動き、国も動き、乳児院や児童養護施設を利用した新しい地域での子育てを支援する保育の在り方が探られるようになりました。
Q.教員としてご自身のご専門分野について、
現在までにどんなテーマを研究されているのか
ご紹介ください
子どもの権利を基盤にした児童福祉政策研究です
その後、自分でも妊娠出産をしながら、日米の保育・子育て支援の比較研究を進め、共働き家庭、母子家庭、父子家庭と子育てと保育制度の違いを国際比較していく実態調査の魅力にとりこまれました。妊娠中には自分の子どもを預けたいと言って、見学では断られる日本のベビーホテルやアメリカの保育施設を見て回りました。この国際比較調査は、大学院の先輩で後に帰国して日本の社会福祉とジェンダーに関する研究の第一人者となっていく杉本貴代栄(元金城学院大学教授)が当時シカゴ~デトロイトに在住し、その人脈でアメリカ調査が可能になったのです。1982年ごろから2000年ごろまでは毎年夏に20日間程度アメリカを訪問して様々な調査を実施しました。
その過程で、日本の少子化が顕著になり、自治体で地域子育て支援計画を作る時代を迎え、1990年ごろから自治体での制度政策、計画づくりを手掛け、その後、その評価検証方法の開発等にかかわりました。これまで千葉県、東京都、埼玉県など約20自治体の計画づくりにかかわってきました。また同時にこのころから、子どもの権利条約の批准運動、子どもの権利の視点を具体化する児童福祉について考える機会が増え、21世紀に入るころから児童福祉と女性福祉、子育て支援の両方の問題を抱える10代親支援研究を始めることになります。この人たちの抱える問題を研究できるのは、私のような研究フィールドを持つ者しかできないと考えたのです。この問題と、2011年3月11日の東日本大震災後に始めた子ども支援研究は、ともに今もそしてこれからも私が研究をし続けなければならない課題と思っています。
Q.研究者として、つらかったことや、嬉しかったことは?
うれしかった時は、1992年5月に第45回日本保育学会総会にて第29回日私幼賞(現:保育学会文献賞)受賞。(対象『日米の働く母親たちー子育て最前線レポート』ミネルヴァ書房)をいただいた時です
この研究は、今でいう学際研究で、経済学、社会福祉学、社会学、ジェンダーなどの女性研究者が集まり実施したもので、保育政策研究者として参加した私は実施調査とまとめ、分析を担当し、一番若かったこともあり、事務局長としてかかわっていました。保育学会の会員としては私だけだった関係で、私が学会賞をいただきました。
当時会長であった岡田正章明星大学教授が授与式の檀上で、「保育学会が初めて実証的な保育政策研究を評価することができたことが自分のことのようにうれしい」と言ってくださったときは、うれしくてボーっとして「ありがとうございます。がんばります」とだけ言ったことを覚えています。そのことがあって、保育関係者や自治体から保育研究や制度研究の場に呼んでいただけるようになりました。この時にできた実践現場や団体、行政などとの関係が、それ以降の私の研究パートナーとしての財産になっています。そうした意味で私の研究者としての一つの節目になりました。
Q.大学院で学ぶことの魅力とは?
研究フィールドや研究アドバイス、仕事の紹介などとても盛んに行われています
1975年に孝橋正一先生の指導をうけたくて、当時関東地域では2か所しかなかった大学院の一つ東洋大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻に入学しました。同級生は2人でした。当時も社会福祉学専攻は仕事をしながら大学院生をしている人が多く、私はアルバイト程度でしたので、授業時間以外は、日本女子大学でお世話になっていた一番ケ瀬康子先生に大学院でも副指導教授として指導していただいていたので、保育問題研究をするなら東京保育問題研究会で保育現場を学ばせてもらいなさいと言われ、多くの関連保育施設の見学をし、またその団体の会報の編集長もして歴史や政策を学びました。その時に出会った先生方は次々と課題や次のフィールドを紹介してくださり、今の私の人的な基盤がそこで作られたと言えます。大学院では、先輩後輩と年齢を問わずにそれぞれの研究を進めるために、可能な限り理解し、一緒に社会福祉問題解決のために力を合わせました。社会調査実習という科目があったのですが、その時は、1年以上かけて、サリドマイド被害児の実態調査を手伝いました。全国に広がる被害児がちょうど高校進学時期を迎えていたので、進学に関する配慮などの必要性を含めた家庭訪問調査をさせてもらいました。また東京保育問題研究会では保育政策部会で活動し、ある自治体で保育所に入所できなかった待機児の方々の訪問調査なども手伝いました。この時の調査経験は、その後の日米調査や10代親調査研究などに大きく影響しています。
同窓生の絆はとても強いです。当時から、仕事や研究の紹介などをはじめ、○○さんはそろそろこんな仕事ができるかな?とかこんな活動をしておいたほうがいいかと、研究の場の紹介なども盛んに行われたのですが、それは今も東洋大学大学院の良き伝統として引きつがれています。
Q.大学院で学びを考えている受験生に
メッセージお願いします。
大学院での学びは、国内外で福祉社会を形成していくための礎を担う専門家を育てる場となる
私の時代は、初めて結婚や子育てをする女性研究者が登場する時代でした。大学院での学びをした人がすべて、研究者になるわけではないと思います。私は、大学院を出て40年余り、要請された仕事や研究に可能なかぎり誠実に応える形で進めてきた結果、今、東洋大学教授となり、大学院で研究指導をさせていただいています。ゼミ生には留学生も多く、日本の社会福祉現場を知ることが必要な人も多くいます。研究のフィールドも必要です。そこで、これまで支えていただいた多くの現場、行政、研究者、最近では市民、NPO、当事者、企業の方々にも協力していただき、国内外の院生の幅広い研究ニーズに応えるようにしています。それは院生にとっても、またそうした人々を受け入れる人にとっても有意義な出会いとなります。
研究的な視点をもつ実践者が多く登場すれば、社会問題の解決のためにもっと力を合わせることができると思います。
そうした意味でも大学院で学ぶことは大きな意味を持つはずです。

プロフィール

氏名
森田 明美(もりた あけみ)
経歴
現在、福祉社会デザイン研究科ヒューマンデザイン専攻 教授
※2018年4月より、東洋大学大学院社会福祉学研究科社会福祉学専攻 教授
1978年 東洋大学大学院社会学研究科社会福祉学専攻修士課程修了後、
東洋大学児童相談室(現在:人間科学総合研究所 当時:相談室非常勤相談員)、非常勤講師を経て
1983年から清和女子短期大学勤務。
1994年度より、東洋大学社会学部助教授[1997年から教授、現在に至る]。
専門
子どもの権利を基盤にした児童福祉学
著書
共編著『子どもの権利条約から見た日本の子ども』 現代人文社
『逐条解説 子どもの権利条約』『 子どもの権利日韓共同研究』『子ども計画ハンドブック』『子ども条例ハンドブック』『子どもにやさしいまちづくり』 以上日本評論社
『日米の働く母親たち』『日米のシングルマザーたち』『日米のシングルファーザーたち』『よくわかる女性と福祉』『シングルマザーの暮らしと福祉政策‐日本・アメリカ・デンマーク・韓国の比較調査』 ミネルヴァ書房他 など
http://ris.toyo.ac.jp/profile/ja.01715a8be304878ef090a220942e4e9b.html
(掲載されている内容は2017年6月現在のものです)
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