Graduate School of
Sociology

Course of System
for Welfare Society

社会学研究科

福祉社会システム専攻
修士課程

白山キャンパス

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Professor

社会学研究科では、現代社会の諸問題を解決するために
幅広く社会学・文化人類学・社会情報学・社会心理学・社会福祉学の成果を
活用できる人材の養成を目指します。
その中でも福祉社会システム専攻は、
社会や労働、福祉、教育、文化などのシステムについての高度な知識をふまえ、
具体的な解決・改善策の提案能力を備えた高度職業人や
豊かな知的資源を有する社会人として、さらには学際的な研究者として、
福祉社会の実現に貢献する人材を養成する専攻となっています。
社会(国内外)での活躍を目指す学生・社会人・留学生の皆さんの入学を待っています。

社会学研究科長 中村功 教授

職業や人生経験を通じて形成される人の歩みを「ライフキャリア」と呼び、
そのライフキャリアを通じて蓄積される知が、「実践知」です。
福祉社会システム専攻では、この実践知を鍛え、
ライフキャリアのさらなる展開をめざす実務家や社会人を積極的に受け入れ、
現代社会におけるさまざまなレベルでの複雑な事象や社会的な課題を、
社会学、社会福祉学を中心とした学際的な視点から
検討するために必要な能力を習得することを目的としています。

福祉社会システム専攻 松本誠一 教授

Student Voice

「心をこめて、ひとり一人のケアに寄り添うということを、大切にしていいんだ」と、
自分の研究テーマを通して、人間観、看護観の柱になるところが得られそうな気がしています。

福祉社会システム専攻※1修士課程2年
橋本久美子 病院勤務(看護師)

※1 福祉社会デザイン研究科福祉社会システム専攻は社会学研究科福祉社会システム専攻へ2018年4月に改組されます。

Student Interview

福祉社会デザイン研究科
福祉社会システム専攻 在校生
橋本 久美子さん

「どれだけ心をこめて、ひとり一人のケアに
寄り添うかということを、大切にしていいんだ」と、
自分の研究テーマを通して、人間観、看護観の柱になるところが
得られそうな気がしています。

Q.大学院に、進学しようと思った
動機・経緯は?

仕事で医療連携やがん相談支援に関わり、地域で暮らす人から患者へ、患者から人として暮らしに戻る社会と医療の橋渡しを支援しています。特にがん患者や家族等の相談支援においては、日本人の2人に1人が生涯がんになるといわれ時代になり、医学の進歩でがんは治る慢性疾患になりつつありますが、がんのイメージなど、がん患者は治療と仕事の両立や治療のその後も、再発の不安やカミングアウトすることでの悩みを抱え、病気になった自分の生活再建を試行錯誤していることを知りました。そこで、がんになった自分を社会の中でどのように調整しながら生活再建を試みているのか、がんサバイバーの生き方を丁寧に紐解き、そこから、どんな支援が必要なのかの課題を、社会で生きる視点の社会学で考えたいとこの専攻での進学を決心しました。

Q.なぜこの大学院を選んだのか?

社会で生きるがんサバイバーの生活再建を研究したいと考え医療モデルではなく社会学であり、社会学と社会福祉学が一緒に学べる福祉社会システム専攻であること、仕事は大切なフィールドなので、働きながら実践現場との組み合わせで研究ができる環境に恵まれている夜間学部の体制は最優先で選びました。また、指導教授の専門性が豊かであり、自宅からも近く、卒業生の入学金の配慮な経済的面や、大学のグローバル化への積極的な取り組みは、教員の専門研究や学生同士の国際的視点での研究への刺激も得られると考え、東洋大大学院福祉社会デザイン研究科の福祉社会システム専攻を選びました。

Q.大学院で学んでみて気づいたこと・
発見したことはありますか?

一番はライフスタイルで、早起きになったことです。帰宅後、自宅で勉強をする体力も気力もなく、週末は、仕事関連の行事に参加することも多いので、平日は早起きして出社し、自分の課題や残務整理などをするようになりました。朝は苦手だと思っていた自分には一番大きな発見です。価値観などの点では、どれだけの仕事をしたかなど評価されがちなことを気にしていた自分がいましたが、「どれだけ心をこめて、ひとり一人のケアに寄り添うかということを、大切にしていいんだ」と、自分の研究テーマを通して、人間観、看護観の柱になるところが得られそうな気がしています。

Q.大学院の魅力は?

福祉社会システム専攻の教員および学生の全員が、私の研究テーマを知り、関心をもって、授業やゼミで、資料や意見をくださることには、本当に感動しました。自分一人だけでは、くじけそうになったりしてしまうと思います。誰かが一緒に考えてくれていること、きっとこの指導の先に道筋があるに違いないと信頼ができると、あわてず、コツコツと先行研究集め、整理するところから研究のプロセスを進めていることが、“研究をしている実感があって新鮮です。ゼミでは、先輩たちが授業に来てくれたり休学して復学された方など、自分の先を進めている先輩も発表し合うので、研究の進め方のイメージもつきます。また、他の学生への指導内容は自分の課題解決の力も育ててくれています。

Q.大学院での学びを通して得たもの

自分の研究テーマを絞りこみ、ゼミで学べる視点が広がり深まり、言語化することは、気づけることも具体的になり、日々の仕事の現場でリアルタイムで患者さんや家族とのかかわりに反映されていると思う。その結果、明らかに相手を知ることへの共感や関係性が豊かになったように想う。また、倫理や他の学生に研究テーマについても自分が関心を持つことで、社会の出来事や社会的視点で見る意識が、同じものを見る見方が変わって、楽しくなった。そうすると、同じ職場の人とのコミュニケーションの内容が豊かになるので、周りの人との関係性も豊かになったように思う。

Q.論文の研究テーマ

がん患者の生活再建 〜がん患者は、がんという病気をどにように伝えているか

Q.指導を受けた教員とのエピソードを教えて下さい。

福祉社会システム基礎特論
修士論文や特定課題研究を作成する上で大切な研究方法のお作法の講義で、研究倫理、情報・文献検索法、研究過程論、社会調査方法論、データ分析法、論文の書き方、学会発表の仕方等に関する基礎的事項を学びます。講義は、専攻教員が交代で担当するので、全教員に自分の研究テーマを話し合えるので1年目の貴重な縁結びの講義です。

Q.大学院での学びが、
今どんな形で役立っていますか?

がん患者の生活再建において、特に、がん患者は、がんという病気をどのように伝えているかを紐解き、がんになってもおびえない社会にするための、がんサバイバーの支援について、医療、福祉、社会をつなぐ、その人の力を引き出す支援を考え、看護の世界に社会学を広めたいです。

Q.お金のやりくり方法や授業料などの捻出方法や、
生活費のやりくり方法など工夫した点や家族や
職場のエピソードなどがあれば
教えてください。

お金のやりくりは、学費は分納の方法を選び、夏・冬のボーナスを活用しています。また、ほぼ定刻で帰るため残業も減り収入は減りますが、学校と職場と自宅の往復なので、無駄な外出も少なくなり意外とやりくりできています。

Q.現在の1週間、
または1日のスケジュールは?
5時00分 起床
5時45分 出勤
6時30分 職場で仕事の準備、または、院内図書室で、研究課題の文献読みや課題の準備
8時30分 仕事開始
17時00分 仕事終了
18時15分 学校
22時00分 帰宅
Q.今後、東洋大学大学院を
目指される方たちへのメッセージを

仕事と学校の両立は大変と思っていましたが、知識が変わると意識が変わり、意識が変わると行動が変わり、そして、心が変わります。心が変わると、新しい自分と出会い、大きな力が湧いてきます。かけがえのない人生を、一歩前に踏みだして、新しい自分に出会ってください。

プロフィール

患者さんや家族の多様性に関心を持ち人と社会を知り看護を考えたいと思った私は、1997年上司の薦めもあり、東洋大学社会学部の2部に通学。そこで、木を見て森を知らなかった私が、社会学と出会い、森を知り木を見ることで見方が変わるように、社会で生きる患者や家族のとらえ方や人間観などを考える充実した時間を過ごすことができた。2008年からは、院内で相談支援センターに異動し、医療連携とがん相談支援に関わり、地域で暮らす人から患者へ、患者から人として暮らしに戻る社会との橋渡しを支援している。2013年産業カウンセラーを取得しがん患者のための就労支援を病院内で行いながら、がん患者の生活再建への生きる力に関心を持ち大学院へ入学、現在に至る。

(掲載されている内容は2016年5月現在のものです)
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Professor Interview

福祉社会デザイン研究科
福祉社会システム専攻
村尾 祐美子准教授

見えなくされた事柄や問題を可視化し、
他者へと開かれた「知」に

Q.教員としてご自身の専門分野を踏まえ、
「研究者として研究」することの意味とは?
異なる考えの人とも議論可能な「知」を生みだす
「研究者として研究」することの意味は、異なる考えの人にも検証可能な「知」をつくりだすことにあると思います。
世の中には、存在しているにも関わらず社会のなかで見過ごされている重要な事柄や問題が世の中にはたくさんあります。これらは、見過ごされ続ける限り、社会のなかで大切にすべき事柄とも対処すべき問題とも見なされない。それゆえに「その事柄は重要だ」とか「その問題を解決しなくては」とかのコンセンサスも得られないし、私たちの社会がもつ様々なリソースを有効に活用して、その事柄の持続をはかることも、その問題を解決することもできません。その結果、社会にとって重要な働きをしていた事柄が簡単に失われてしまったり、深刻な問題がいつまでも放置されたりといったことが起こります。
だからこそ、「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」を可視化することが必要です。しかし、それらをいままで見過ごしてきた側、見過ごしてもよいとしてきた側にも、しばしばそれなりの理屈があります。その事柄の重要性、解決すべき問題であること、何らかの社会的リソースをそれらに割り当てるべきことをあなたがただ主張しても、異なる考えを持つ他者は、そう簡単には納得しないでしょう。
では、どうしたらよいのか。そのような異なる考えの人にも検証可能な「知」というかたちで、「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」の存在やその解決策を提示する、という方法があります。言い換えれば、研究者として「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」を可視化する、ということです。こうすることで、自分の考えの根拠を示すことができ、異なる考え方の人と議論することが可能になるのです。
Q.教員としてご自身が、
研究者になった経緯をご紹介ください。
「社会階層」への関心から「労働市場における男女不平等」をテーマに
高校時代、ちょうどバブル経済期でしたが、『金魂巻』『クラース』などの社会経済的・文化的格差に関わる本が話題だったので読んでみた、というのが、「社会階層」に目を向けたきっかけです。本を読み終えた私は感心し、「社会階層」という視点から、今まで愛読してきた小説を読み返してみました。すると、これまで何気なく読んでいた会話や描写のあちこちに、「社会階層」に関わる含意が浮かびあがってきたのです。「社会階層」という視点から社会を捉えるのは面白いし必要なことだ、とその時思ったことを覚えています。
大学では、「社会階層と文化」を専門とする先生の指導を受けました。ゼミで学ぶうちに、社会階層と社会的不平等との関連に興味をもち、最終的に私は、「労働市場における男女不平等」を卒論のテーマに選びました。というのも、当時の社会の主流派は「現存する賃金等の男女間格差は合理的な格差だから、問題ない。政府による男女間格差縮小のための現在以上の取組は不要、むしろ有害」と主張していたのですが、自分が就職活動をしてみると、同じ職種であっても採用基準や採用後の配置に男女で明らかな違いがあることがわかり、「労働市場における男女不平等の問題は、見えなくされて、解決を阻まれている。それなら私が可視化しよう」と思ったからです。もっとも当時の私にそれを実現する力量はなく、この思いを胸に大学院に進学しました。勉強をすすめるうちに、自分の目標達成のためには、労働市場のありかたを把握できる全国規模の男女双方を調査対象とする個票データが必須だとわかりましたが、当時はデータアーカイブが整備されていなかったし、いち院生の身ではそうしたデータを収集するための全国調査も無理です。困っていたところ、修士1年の冬、幸運なことに大学院の先生の紹介で社会階層に関わる大規模な全国調査に参加できることになりました。その調査データを使って思いを貫いた博士論文をまとめました。その後も、労働の場でのさまざまな問題を可視化することをめざし、研究を続けています。
Q.教員としてご自身のご専門分野について、
現在までにどんなテーマを研究されているのか
ご紹介ください
労働の場での諸問題のより妥当な理解をめざして
「男女双方を含む労働市場のなかで、地位や社会的資源がどのようにジェンダーや雇用形態に影響されつつ配分されているのか」を解明することを、一貫して主な研究テーマとしています。具体的には、仕事を遂行する際に物事を決定する権限の強さや、役職や係長への昇進、今以上の地位への主観的な昇進見込みなどについて、職場のありようやジェンダーがどのような影響を与えているのかを、質問紙調査データを統計的に分析することで明らかにしてきました。これからも、男女双方からなる労働市場のなかで男女が差異化され序列化されている実態を可視化したり、異性や異なる雇用形態の人が同じ職業・職場に存在していることが男性あるいは女性に与える影響を明らかにしたりすることを通じて、日本における労働・ジェンダー・雇用形態のありようにとそれに関わる諸問題についてのより妥当な理解に貢献したいと思っています。これらの点についてのより妥当な理解があってこそ、社会のリソースをより適切に活用した、より有効な問題解決が可能になると考えているからです。
Q.研究者として、つらかったことや、嬉しかったことは?
つながる喜び、学ぶ楽しさ
「労働市場のなかの不平等に関わる見えなくされた問題を可視化し、解決に貢献したい」というのが研究上の大きな動機なので、同じ思いを抱くさまざまな方々と研究を通じて出会い、つながることができるのは、私にとって大きな喜びです。
また、研究者として、学ぶことは純粋に楽しいです。労働に関する新たな知識は、社会のありようについての自分の理解の妥当性の評価に役立ったり、理解を更新したりしてくれます。時には、知らなかった新しいものの見方を教えられ、それによって社会の見え方がより豊かになる幸運にもめぐりあえます。もちろん、自分の頭ではなかなか理解が追いつかない場合には、時につらくもあるような努力をしなければなりませんが。
Q.大学院で学ぶことの魅力とは?
実践知を学術知に接続し
新たな「言語(=伝え、考えるためのツール)」を手に入れる
一つ目の魅力は、「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」を可視化し、異なる視野・異なる経験・異なる価値観を持つ他者と共有するための、新たな「言語(=伝え、考えるためのツール)」を手に入れられることです。大学院で学術的な訓練を受けることにより、自らが日常生活のなかで蓄積してきた個人的な経験知・実践知を、学術的な知へと接続して新たな視点から捉え直し語ることが可能になります。学術知に基づく「言語」を用いて語られる「知」は、異なる考えの人の検証にも開かれた、より幅広い人々と共有可能なものです。この新たな「言語」は、「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」についてのあなたの「知」を、人々とより幅広く共有し、よりよい現実を作り出すための議論により幅広く役立てることにも、きっと役立つことでしょう。
二つ目は、共に学ぶ仲間との出会いです。平日夜間・土曜日開講の大学院という私たちの専攻の特色とも関わりますが、さまざまな分野での実践知を備えた学ぶ仲間たちと出会えることは、学ぶ経験を一層有意義なものにしてくれると思います。さまざまな実践知と学術知の出会いを通じて、双方の「知」がより豊かになってゆく瞬間を、私たちの専攻でぜひ経験していただきたいです。
Q.大学院で学びを考えている
受験生にメッセージお願いします。
あなたの知る世界を他者と語るための新しい「言語」を手に入れよう
あなたが日常生活をおくる現場で感知している「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」を、学問の世界の言葉(=学術知)を使って可視化してみませんか。そのプロセスを経て、あなたの実践知はより研ぎすまされた、他者と共有可能な「知」となり、問題解決のための、あるいは、事柄の持続をはかるための議論を、他者と行うことが可能になります。あなたが感知している「見えなくされた事柄」「見えなくされた問題」を他者と語るための新しい「言語」を、私たちの専攻での学びを通して、ぜひ手に入れてください。

プロフィール

氏名
村尾 祐美子(むらお ゆみこ)
経歴
現在、福祉社会デザイン研究科福祉社会システム専攻 准教授
http://ris.toyo.ac.jp/profile/ja.704c7c52d3ecff5a7d02bf1a94d73d6e.html
(掲載されている内容は2017年6月現在のものです)
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