東洋大学の文人の系譜
 − 詩 人 編 −


概説・パネル

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山本 和夫
詩人大学
白山詩人


『山本和夫全詩集』
口絵写真より

山本和夫(やまもと かずお)

明治40(1907)〜平成8(1996)

 山本和夫は、明治40年福井県遠敷郡松永村に生まれた。中学時代より詩作を始め、大正15年東洋大学専門学部倫理学東洋文学科に入学、昭和4年に卒業した。在学中に『白山詩人』を乾直恵・白井一二らと創刊し活躍した。詩のほかに『燃える湖』(昭39、第13回小学館児童文学賞)をはじめとする児童文学作家としての作品も多く、さらに近代文学研究家として、評論家として幅広く活動した。


「青の村」 山本和夫

青い湖から / 十数里
―ランプの点っている小さな村です。
どの家々にも、 / 筧の水の音が、閑かに、ひびき、
犬も人も食べものは同じ。
夜には背戸に狐が鳴きます。
―この村は、 / 冬は大雪渓の下になり、
五月が来ると、 / 花をちりばめた緑の谷となります。
蕗の葉っぱも露草の葉っぱも雛鳥となってぴよぴよ。
郭公が歌い出す頃から、 / ひとびとは、肱を枕にひる寝を始めます。
―秋ともなれば、 / つぶらな、色彩とりどり。木の実のマアケット。
(とり残された旧約聖書の中の天幕の村)
この村は、 / 私に
星に乗って青い天空を旅することを教えてくれました
ひとりで喋ることを教えてくれました。   (『花のある村』所収)

人間への愛情にみちた虚無のまなざし-山本和夫の作品

 20歳前後から半世紀をこえて旺盛な詩作を続けた山本和夫の詩は多数にのぼるが、その詩は、わかりやすく「人類への愛情にみちた虚無のまなざしがこれらの詩句を背後から支えている」(小西正保)と評される。主な詩集には、第1詩集『仙人と人間との間』(昭4)・『花のある村』(昭11)・『戦争』(昭13、文芸汎論賞)・『花咲く日』(昭18)・『影と共に』(昭45)などがあり、昭和54年には、『山本和夫全詩集』が出版された。

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