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【平成28年度 修了生の声】船原 綾さん

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何かを掴もうとしている塾生の表情は非常に美しく、刺激的でした。

哲学塾の志望動機

私は20年前に東洋大学を卒業しました。

社会に出る際、4年かけて文学を学んだのだからそれを実社会で活かそうと、実践文学を胸に掲げ、森羅万象を詩的に文学的に捉えようと試みました。同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、と数々の現実を目の当たりにし、社会の厳しさや自身の小ささを実感しながら、それでも人生は素晴らしいと言えるものを掴もうと努めました。

5年前に介護の仕事に就き、法制度や労働環境、働く人のモラルなどの現実に直面しました。また多くの高齢者と関わることで、幸も不幸も経験した美しい人生の最期がこんな味気ない終わり方で良いのかと疑問に感じました。自分なりの良識や経験、ましてや文学では解決できない無力さを実感しました。

そんな時に哲学塾の存在を知り、心身の休養を兼ねて一度人生を見つめ直し、諸学の基礎となる哲学とは何かを学ぶことで自分に欠けているものを補いたい、と思いました。

哲学塾での活動内容および学んだこと

哲学の重要性を説くために、あえて官僚の道を選ばず、3度の世界旅行や日本中を講演して回った井上円了ですが、彼の言う哲学とは、生きるための指針となる軸を掴むこと、物事を論理的に考え学び向上すること、向上した学びを自らに留めず他者や社会に還元すること、すなわち向下すること、というとても捉えやすいものでした。

その点を踏まえた上で、現代社会を牽引する人材に必要な資質や物の考え方、他者との関わり方を学びました。実社会でグローバルに生きる方々からその仕事や思想を聞き、与えられたテーマについて他者と意見を交わし、結論を導き発表するという一連の流れは、論理的な思考や表現が苦手な私にとって良い経験でした。

また目的意識のある学生と一緒に学ぶことはとても新鮮で、塾の終わりを待たずに世界へ飛び出したり、LGBTであることを皆の前で堂々と発表した学生もいました。何かを掴もうとしている彼等の表情は非常に美しく、刺激的でした。

哲学塾で学んだことを今後どのように活かしていきたいか

哲学の重要性を仕事を通して表現していきたいと思います。

哲学を学んで気付いたことは、介護という仕事は実践哲学に相応しい職業だということです。高齢者や障碍者と関わる中で、医学・科学・統計学・心理学・倫理学・民俗学・工学・文学・形而上学、と様々な学問を学びますが、その全ての学問の根底にあるのが哲学だということを知りました。多角的な思考と感情の共有を必要とされるからです。

よく「介護は大変だ」と言われますが、人間の心と身体の神秘や複雑さは大変以上の面白さがあります。大変さを越えたところにある面白さ。それはどの仕事でも同じだと思います。この国の抱える少子高齢化、過疎化等の諸問題も1つ1つは深刻ですが、1人1人が大きな目線で捉え、考え、学び、向上向下を繰り返すことで、深刻の先にある面白い未来を作ることができる。そんな可能性を哲学に託して、まずは目の前の景色を変えていく働きかけをしていこうと思います。

 

 

 

 

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